ゲーマー向けの要素を濃くした"R.O.G."シリーズ

ユーザーを選ばないスタンダードシリーズに対し、ゲーマーやオーバークロッカー向けの機能で固めた、よりマニアックな製品をそろえているのが「R.O.G.(Republic Of Gamers)」シリーズだ。

後のレビューでも触れていくが、ASUSの場合、このR.O.G.シリーズで実装された機能が次世代のスタンダードシリーズに継承されていく。その意味でR.O.G.シリーズは未来のASUS製マザーボードの写像でもあるのだ。

今回のR.O.G.シリーズもいくつか新機能が搭載されているが、特筆すべきは普通のUSBキーボードのファンクションキーにマクロ機能を追加する「KeyBot」と、ゲームの種類に適した音響特性をリアルタイムで作りだす「Sonic Stage」の2つ。特に前者はパワーオフ状態から「Del」キーを押すだけでBIOS設定画面を呼び出したり、「F11」キーでオーバークロック状態で起動するなど、チューニング好きならニヤリとする機能だ。

マザーボードそのものを見ると、基板裏にはVRM用の放熱板、フェライトチョークは高耐久性のものを採用するなど、スタンダードシリーズよりもさらに極限状態での安定性重視にリソースを割いている。ただ、全モデルM.2を搭載する一方で、SATA Expressが非搭載なほか、PCI Express x1スロットがユニバーサル仕様(スロット後端が解放されている)となっている。

MAXIMUS VII HERO

9シリーズ版R.O.G.の暫定フラッグシップモデル「MAXIMUS VII HERO」。店頭予想価格は30,000円前後

R.O.G.シリーズの中堅マザーで、後述する"RANGER"の上位モデル。SATA 6Gbpsコネクタが2つ多いほか、VRM周りの設計がより重厚になっている。

当然RANGERと比べると、HEROの方がオーバークロックに向いている。しかし、最近のゲームはCPUのオーバークロックの効果は非常に少ないため、ゲームを遊ぶ目的で組むならRANGERを選ぶのがオススメだ。

ソケット LGA1150
チップセット Intel Z97 Express
メモリ DDR3-3200+(OC)対応×4
拡張スロット PCI Express (3.0) x16×2、PCI Express (2.0) x16×1、PCI Express (2.0) x1×3
マルチGPU NVIDIA SLI/AMD CrossFireX
SATA SATA 6Gb/s×8、M.2×1(PCIe対応)
RAID RAID 0/1/5/10対応
ネットワーク GbE×1(IntelI218-V)
サウンド 7.1チャネルHD Audio(SupremeFX)
フォームファクタ ATX
そのほか USB 3.0×6、USB 2.0×7、HDMI×1、DVI-D×1、D-sub×1、オーディオポートなど
店頭予想価格 31,000円前後

MAXIMUS VII RANGER

新しくR.O.G.シリーズに追加された「MAXIMUS VII RANGER」。店頭予想価格は24,000円前後

前述の通り、SATA 6Gbpsのポート数が少なくVRM周りの設計をやや簡略化してコストダウンしたモデル。基本レイアウトはHEROと同一。

MAXIMUS VII GENE

「MAXIMUS VII GENE」。店頭予想価格は27,000円前後

R.O.G.シリーズのマイクロATXモデル。SATA 6Gbpsポート数が8基と多いほか、miniPCIeスロットを装備。さらにサウンド回路は別基板で実装する。

高耐久路線にさらに磨きをかけた"TUF"シリーズ

最後に残ったTUFシリーズは、耐久性やマザーの温度管理に軸足を置いた異色のシリーズだ。いまや"高耐久"なんてどこのマザーボードメーカーもうたっているが、ASUSのTUFシリーズはマザーボード表面を覆うカバー"TUF Thermal Armor"と、マザー裏面の"TUF Fortifier"を装備しているのが大きな特徴だ。

前者はグラフィックボード等の熱がマザーをあぶらないよう保護するほか、VRM部の冷却効率を向上するもの。後者は重量のあるパーツ装着時でもマザーの反りを防ぐための装備だ。

TUFシリーズで注意したいポイントは、どの製品もM.2スロットが非搭載な点。アーマーをかぶせる関係上、基板上に直接配置するM.2とは相性が悪くなるのは致し方ないところだ。

SABERTOOTH Z97 MARK1

「SABERTOOTH Z97 MARK1」。店頭予想価格は31,000円前後

TUFシリーズを使うメリットはマザーで制御可能なファン数が非常に多いこと。このSABERTOOTH Z97 MARK1の場合12基のファンを、9個の温度センサの情報をもとに制御できる。このためTUFシリーズでは温度センサの監視とファン制御用に専用のプロセッサ「TUF ICe」を搭載し、CPUに切負荷をかけず処理している。

さらにTUFシリーズ専用のファン回転数制御アプリ「Thermal Radar 2」は、CPUやPCケースファンの制御に加え、ASUS製グラフィックボードのファンの制御機能も備えている。いまのところGeForce GTX 700番台のGPUを搭載したグラフィックボードの制御しかできないが、PCの温度管理を大事にしたい人にとっては面白い機能といえる。

ソケット LGA1150
チップセット Intel Z97 Express
メモリ DDR3-1866対応×4
拡張スロット PCI Express (3.0) x16×2、PCI Express (2.0) x16×1、PCI Express (2.0) x1×3
マルチGPU NVIDIA SLI/AMD CrossFireX
SATA SATA 6Gb/s×8、SATA Express×1
RAID RAID 0/1/5/10対応
ネットワーク GbE×2(IntelI218-V、Realtek RTL8111GR)
サウンド 7.1チャネルHD Audio(Realtek ALC1150)
フォームファクタ ATX
そのほか USB 3.0×8、USB 2.0×8、HDMI×1、DisplayPort×1、オーディオポートなど
店頭予想価格 31,000円前後

GRYPHON Z97

「GRYPHON Z97」。店頭予想価格は21,000円前後

SABERTOOTH Z97 MARK1のマイクロATX版だが、有線LANが1系統のみ、SATA Express非搭載という違いがある。またアーマーは標準装備されない。