■「アタッチWiFi」のポテンシャルを探る<前編><後編>

前編……モバイルルーターよりもリーズナブルにWiFi接続ができる!?
後編……体感的に速く感じる通信速度

手持ちのauケータイでテザリングを可能する画期的なサービスが登場

ノートPC、タブレットデバイス、携帯ゲーム機などのWiFi対応機器を外に持ち出してインターネットを利用するために、モバイルルーターの購入を検討されている方は多いだろう。だが、モバイルルーターの利用には、月額4,000~6,000円程度の基本使用料金+通信料金がかかる。これをケータイ料金とは別に毎月支払い続けるわけだから、月々の負担はかなり大きい。

では、手持ちのケータイをスマートフォンに機種変更して、テザリング(携帯通信網の回線を他機器で共有する機能)を利用した場合はどうか。まず、テザリング対応のスマートフォンは、比較的新しい機種に限られるため、端末自体の価格が高くつく。加えて、パケット定額に加入していても、テザリングを利用した月の上限額は通常より3,000~4,000円ほど割高になってしまう。

左が専用アクセサリーの「NEX-fi/S」。右は今回の試用に使ったauケータイで、ソニー・エリクソン製の「Cyber-shotケータイ S006」となる

そこで、第3の選択肢として注目したいのが、ソニーマーケティングが先日サービスを開始したばかりの「アタッチWiFi」だ。これは、au(KDDI)のフィーチャーフォン(従来型のケータイ)向けの新サービスで、手持ちのauケータイをあたかもモバイルルーターのように活用できる。しかも、月額料金はわずか1,575円と圧倒的に安い。auに支払うパケット定額の上限料金(4,410円)と合わせても、月に5,985円で済む。この「アタッチWiFi」を利用するには、専用アクセサリーの「NEX-fi/S」購入する必要があるが、ソニーストア経由でサービス加入と同時に購入した場合、「NEX-fi/S」の価格はたったの1円になる。事実上、端末代金などの初期費用なしに始められるというのは、モバイルルーターやスマートフォンのテザリングよりも有利といえるだろう。


加入要件や注意事項をチェック

ソニーストア経由で「アタッチWiFi」に加入するには、いくつかの要件があるので、ここで整理しておきたい。

1:対象のauケータイを所持していること
動作確認済み機種はhttp://www.nex-fi.com/p/phone/で確認できる。NTTドコモやソフトバンクモバイルのケータイ、あるいはauでもスマートフォンの場合は利用できない。

2:対象のau料金プランに加入していること
ダブル定額(スーパーライト/ライトでも可)かプランE(シンプルでも可)に加入している必要がある。これ以外のプランでも利用は可能だが、auに支払うパケット料金が青天井になってしまうので現実的ではない。

3:My Sony IDを取得していること
未取得の場合でも、無料で新規に登録できる。

4:クレジットカードを所持していること
auの料金はこれまで通りauに支払うが、「アタッチWiFi」の月額料金はソニーストアに支払うことになる。その支払い方法がクレジットカードのみとなっているため、クレジットカードが必須となる。

気をつけたいのは、このサービスにはいわゆる“1年縛り”があり、加入から1年未満で解約すると違約金がかかることだ。違約金の額は、基準月から1カ月目が18,900円で、以後、ひと月ごとに1,575円ずつ減額され、13カ月目以降の解約なら0円となる。つまり、実際にサービスを使うかどうか、あるいは途中で解約するか否かにかかわらず、最初の1年目はどのみち1,575円×12カ月分=18,900円がかかるというわけだ。このことを考慮に入れると、少なくとも向こう1年間はスマートフォンに機種変更したり、auからMNPで他社に移る予定がない方は「アタッチWiFi」への加入に適している。

また「アタッチWiFi」利用時の通信速度は下り最大9.2Mbpsだが、ひと月あたりの累計データ通信量が1GBを超えると速度制限がかかり、以後月が変わるまでは最大128kbpsに下がることも留意しておきたい。もっとも、1GBというデータ量は、毎日約130ページ (1ページ当たり250KBで計算) のWeb閲覧に相当するので、大容量のデータを頻繁にやりとりするのでなければ十分事足りるはずだ。