80PLUS電源は何が違うのか?
ツクモのプライベートブランド「eX.computer」のカスタマイズパーツの実力を探るこの集中連載。第1回と第2回はCPUクーラー、第3回はSSDについて検証した。この集中連載最終回となる第4回は、電源ユニットについて試してみたい。自作PCが流行だした当初「電源なんて何を使ってもOK」みたいな風潮があった。だが、Pentium 4が登場したあたりからその存在感が増し、今では無視できないパーツともいえる。
■集中連載「eX.computer」おすすめパーツ選択術
第1回……CPUクーラーのアップグレードによる効果を知る Part1
第2回……CPUクーラーのアップグレードによる効果を知る Part2
第3回……SSDのオーダーはどのくらい有効か?
第4回……80PLUS電源は何が違うのか
ここ数年目立ってきた「80PLUS」という認証プログラム
電源ユニットというと地味な存在に思われがちだが、現在のパソコンにおいては非常に重要なパーツになっている。というのも、CPUやグラフィックボードの消費電力が上がっており、安定した電力供給が必要となるからだ。とりわけハイエンドグラフィックボードの消費電力は高く、システム全体への電力供給不足の原因になりパーツが破損することもあり得る。クルマにたとえるなら、CPUやグラフィックボードは動力となるエンジン、電源ユニットは安全走行を司る足まわりといえるのだ。
この電源ユニットにおいて最近よく耳にするのが「80PLUS」というキーワード。これは交流から直流への変換効率を示す認証プログラムで、20%、50%、100%の負荷がかかったときに、それぞれ80%以上の変換効率となる電源ユニットに認証される。またこの認証プログラムにはランクがあり「80PLUS」「80PLUS Bronze」「80PLUS Silver」「80PLUS Gold」「80PLUS Platinum」などがある。
負荷 | 20% | 50% | 100% |
---|---|---|---|
80PLUS | 80% | 80% | 80% |
80PLUS Bronze | 82% | 85% | 82% |
80PLUS Silver | 85% | 88% | 85% |
80PLUS Gold | 87% | 90% | 87% |
80PLUS Plutinum | 90% | 92% | 89% |
高負荷をかけて電源ユニットの性能を比較
ツクモのプライベートPCブランド「eX.computer」は、この80PLUS認証プログラムを受けた高品位な電源ユニットをオプションで用意している。なかにはハイグレードな80PLUS Goldの認証を受けた電源ユニットを選択できるモデルもある。では、こうした電源ユニットに換装した場合、どのような効果があるのだろうか?
テストに使用したのは「エアロストリーム RM5J-C34/S2」。標準では写真左の450W電源を搭載する。その電源ユニットでストレステストを行ったあと、80PLUS Gold認証を受けた「Seasonic SS-850KM」に換装。同じストレステストを行い、その際の消費電力をワットチェッカーで調べた |
使用したのはストレステスト用ソフト「OCCT」。CPUやグラフィックボードなどにオーバークロックを施したマシンに高い負荷をかけ、その耐性をチェックできるツールだ。RM5J-C34/S2ではCPUにストレスをかける「CPU:OCCT」モードで試した |
顕著に表れた消費電力の低減効果
OCCTは高いストレスがかかる前にアイドリング状態が続くので、その状態とストレス時の消費電力を調べた。結果、標準搭載の電源ユニットのアイドリング時は37~40W、ストレス時は134~150Wとなった。一方、Seasonic SS-850KMの換装した場合、アイドリング時は27~30W、ストレス時で117~122Wで推移した。それぞれ最大電力消費時で比較すると、SS-850KMはアイドリング時で75%、ストレス時で81%の消費電力で済むことがわかった。
アイドリング時 | ストレス時 | |
---|---|---|
標準搭載電源ユニット | 37~40W | 134~150W |
Seasonic SS-850KM | 27~30W | 117~122W |
上はOCCT稼働時の+12V電源の様子をモニターしたグラフ。+12Vは、CPUやグラフィックに電源供給をする重要な役割を持つ。右がSeasonic SS-850KM搭載時だが、消費電力が少なくても供給電圧が左とまったく変わっていないのがわかる |
80PLUS Gold VS 80PLUS Bronze対決では?
無印の電源ユニットに対して大きなアドバンテージをみせた80PLUS Gold認証の電源ユニットだが、下位の80PLUS認証を受けた電源ユニットとはどのくらいの差があるのだろうか。このテストでは80PLUS Bronzeを標準搭載した「G-GEAR GA7J-C35/ZS2」を使用して試してみた。
GA7J-C35/ZS2ではCPUに高いストレスをかけると同時に、グラフィックにもストレスをかける「POWER SUPPLY」モードで計測した。上のように、CPUに負荷を与えながらグラフィックにも描画負担をかける |
結果は80PLUS Bronze搭載時のアイドリング状態では71~73W、ストレステスト時は390~400Wの消費電力となった。グラフィックにも負荷をかけるので、消費電力はRM5J-C34/S2のときとは大きく異なる。一方、80PLUS Goldではアイドリング時62~66W、ストレス時360~370Wとなった。それぞれ最大消費電力で比較すると、アイドル時90%、ストレス時93%となる。無印の電源ユニットに比べると消費電力低減の割合は下がるが、それでも効果があることがわかる。
アイドリング時 | ストレス時 | |
---|---|---|
80PLUS Bronze電源ユニット | 71~73W | 390~400W |
Seasonic SS-850KM | 62~66W | 360~370W |
オプションで電源ユニットをよりハイグレードなものに換装すると、初期コストが上がるのは当たり前だ。だが、変換効率のよい電源ならば、消費電力が抑えられるのがわかる。長時間ゲームをプレイをする、長期間常時起動していなくてはならないというユーザーなら、ランニングコストの面で大きな恩恵があるはずだ。加えて高品位な電源ユニットは、動作音が静かだったり発熱しにくかったりするメリットがある。PC購入時に電源ユニットのグレードアップは考えてみたい。
(マイナビニュース広告企画)
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