こんにちは、阿久津です。本誌を含め各誌が報じているように、Windows 8はRTM版(Release To Manufacturing version:製造工程版)に達し、各所で使われ始めました。筆者もWindows 8の機能やクセを理解するため、メインマシンとなるデスクトップ型コンピューターや、最近は使用頻度が著しく下がってしますがサブマシンのノート型コンピューターにインストール。検証や原稿執筆に使用しています。
今回Windows 8をインストールするにあたり、各マシンのホストドライブをSSDに変更しました。本連載をご購読の方はご存じだと思いますが、SSDが流行し始めた頃、ノート型コンピューターのホストドライブをバルク品のSSDに換装しましたものの、数週間程度でドライブが破壊されたことがあります。それが軽いトラウマとなってHDDに固執していましたが、さすがにSSD環境では十秒未満で起動するWindows 8はSSDで運用するのが得策だと思い、趣向替えした次第です。
もちろんデータ消失の心配は依然と残されたまま。そのため、サブドライブ兼アプリケーションのインストール用として3TBのHDDを用意し、毎週イメージバックアップを作成することにしました。Windows 8では、ユーザーフォルダーを対象にしたバックアップ機能である「ファイル履歴」が前面に押し出され、従来のフルバックアップ機能は「Windows 7のファイルの回復」と改称され、後方互換性を維持するだけに残された状態です(図01~02)。
通常であれば毎時(実行タイミングは変更可能)ユーザーフォルダーを指定フォルダーにミラーリングし、世代バックアップデータを作成する「ファイル履歴」で同フォルダーを保護し、システム全体は「Windows 7のファイルの回復」を一定間隔で保護、と考えれば済む話。しかし、そううまくはいきませんでした。
一つめが前述の3TB HDDにシステムイメージを保存できないという現象。容量の関係でパーティションスタイルをMBRではなく、GPT(GUIDパーティションテーブル)を選択しましたが、「Windows 7のファイルの回復」はリムーバブルデバイスとして認識するため、スケジュールによるシステムイメージのバックアップを設定することができませんでした(図03~04)。
これがUEFIではなくBIOS実装のコンピューターだったからなのか、パーティションスタイルが影響しているのか確認できませんが、仕方なく別のボリュームにシステムイメージを作成するようにしました。すると「ファイル履歴」が動作しないのです。これがもう一つの現象。同機能を呼び出すと「Windows 7バックアップが現在構成されています。ファイル履歴を構成するには、これを無効にする必要があります」というメッセージが表示されました(図05)。
そもそもWindows OSは、以前からVSS(ボリュームシャドウコピーサービス)で、ファイルに対するスナップショットを作成しています。このデータを利用するためOSが稼働中でもシステム全体のバックアップが作成可能でした。執筆時点では詳しく検証していませんが、シャドウコピーデータにアクセスできないといった機能的な制限は発生しないはず。いずれにせよ、「ファイル履歴」と「Windows 7のファイルの回復」は併用できないのは確実。Windows 8でフルバックアップ機能を実行する場合は注意が必要です。
さて、今週のチューニングですが先週に引き続き、電源オプションの詳細設定や「Powercfg.exe」コマンドを検証して発見した情報を取り上げます。今回は、GUID「238C9FA8-0AAD-41ED-83F4-97BE242C8F20」で定義されている「システム無人スリープタイムアウト」という項目。ポップアップヘルプを確認しますと、「システムがスリープ状態を無人で解除した後、低電力スリープ状態に戻る前のアイドルタイムアウトです」と記載されていました。
意味がわかりにくかったので同機能を何度か検証したところ、ユーザー操作ではなくタスクスケジューラに登録したタスクなどがスリープを解除し、再びスリープモードへ移行するまでの時間を指定するものでした。今週はこの機能を有効にするチューニングをお届けしましょう。
1.管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2.HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\238C9FA8-0AAD-41ED-83F4-97BE242C8F20\7bc4a2f9-d8fc-4469-b07b-33eb785aaca0キーを開きます。
3.DWORD値「Attributes」のデータ値を「2」に変更します。
4.[F5]キーを押してからレジストリエディターを終了させます。
これでチューニングが終了しました(図06~09)。
図07 レジストリエディターが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Power\PowerSettings\238C9FA8-0AAD-41ED-83F4-97BE242C8F20\7bc4a2f9-d8fc-4469-b07b-33eb785aaca0キーを開きます |
それでは結果を確認してみましょう。まずはコントロールパネルなどから電源オプションダイアログを起動します。電源オプション→プラン設定の変更→詳細な電源設定の変更とたどるか、「Rundll32.exe Shell32.dll,Control_RunDLL powercfg.cpl,,1」を実行してください。同ダイアログの<スリープ>を展開しますと、<システム無人スリープタイムアウト>という項目が追加されました(図10~11)。
図10 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「Rundll32.exe Shell32.dll,Control_RunDLL powercfg.cpl,,1」と入力して<OK>ボタンをクリックします |
前述のとおり同項目は、非ユーザー操作によるスリープ解除後、再度スリープモードへ移行するまでの時間を指定する設定です。初期状態では「2分」となっていますので、あらためて設定する必要はないでしょう。強いていえば一分程度に変更することで、消費電力を最小限に抑えられるかも知れません。なお、本チューニングを無効にするには、ステップ03で編集したDWORD値「Attributes」のデータ値を「1」に戻します。
それでは、また次号でお会いしましょう。