スマートフォンやタブレットと連動させて遊ぶ次世代オモチャ、スマートトイ。専用アプリを用いることで今までにはないオモチャの楽しみ方が広がってきている。そんなハイテクオモチャを子供だけに遊ばせるのはもったいない! ということで、大人も楽しめる、いや大人こそ楽しみたい次世代ハイテクトイを紹介する連載、始めます。

第3回 アップルストア価格
Stratus Wireless 税別7,800円 製品ページ


あの大企業も生み出せなかった? マニアが支持する人気トイ

全てのゲームをスマホで楽しめるようになった西暦20××年――。世界はとある難問に突き当たった。それはスマホのタッチ操作ではゲームがうまく遊べないこと。そこで世界有数の大企業がこの問題の解決に乗り出した。

IT界の異端児・ゴーグル社は100億円の開発費をかけ、目の動きでゲーム操作できるウエアラブル端末「ゴーグルグラス」を開発。しかし使用中の誰もが不審者に見え、世界の評判は悪かった。

一方、物流界の革命児・アマゾヌ社は20個のカメラを内蔵したスマートフォンを開発。空中のジェスチャーでゲームを操作できる画期的な操作法を発明。しかしこれは一部のプライム会員のみの限定発売となったため、富裕層にしか普及しなかった。

また、アッポル社は音声で命令するだけでスマホ自身がゲームを楽しむ「mono-siri」を発明。しかしユーザーがゲームで遊ぶという本来の楽しみが奪われるということで、どのメーカーも追随することはなかった。

そんな中、デンマークのメーカーが発売したとあるスマート・トイが世界を驚かせた。

Bluetooth接続ゲームコントローラ「SteelSeries Stratus ワイヤレス ゲームコントローラー」。お馴染みの十字キー型コントローラをワイヤレスでスマホに対応させるという、目から鱗が落ちる発想で全ての問題を解決。これにより世界のスマホゲームはますます発展していった。

めでたしめでたし。

――というアメリカン・ジョークはさておき、今回紹介するスマートトイはデンマークのゲーム機器メーカー、スチールシリーズ社が販売するiOS 7用の無線ゲームコントローラ「Stratus Wireless(ストラタス・ワイヤレス)」。実はこれまでもスマホに対応したゲームパッドはいくつか出ていたが、この製品は海外のゲームサイトがこぞって絶賛。2014年の4月から日本のアップルストア直販サイト(の中のアクセサリストア)でも電撃発売され、ユーザー評価は平均で星4.5の高評価(2014年5月12日時点)。一部マニアから熱烈歓迎を受けているという。

対応機種はiPhone 5/iPhone 5c/iPhone 5s/iPad mini/iPad Air/iPad(第4世代)/iPod touch(第5世代)

本体、マイクロUSBケーブル、専用カバー、オリジナルバッグが附属

専用カバーはコントローラの蓋として使用できるほか、背面に装着するとグリップの代わりにもなる

片手にすっぽり収まる絶妙なサイズ感

サイズはW110×D60×H33mm、重さは75g。iPhone 5sの画面サイズとほぼ同程度で見た目も重さもコンパクト。大人になってから久々にファミコンを触った時に「あれ、ファミコンのコントローラってこんなに小さかったっけ?」という、あの感触に近い。そんな経験ないという人はハドソンの「シュウォッチ」(1987年発売!)に初めて触った時の「なんか小さいコントローラ感」を思い出して欲しい。それすらもわからない人は、今どきのスマホよりもずっと軽いぐらいと思ってけっこう。

見た目はxboxコントローラっぽいが、サイズはスマホよりもコンパクト

コントローラには十字キーのほか、二つのアナログスティック、A/B/X/Yボタン、L1/L2/R1/R2ボタンをフル装備。しかもA/B/X/Y/L1/L2/Rボタンは押し込みの強さにも対応するプレッシャーセンシティブ機能も搭載。サイズはコンパクトでもゲームをする上での機能は犠牲にしない、アドバンスドな最新コントローラだ。

L2/R2ボタンはやや小さめ。両人差し指で操作するようにできている

本体側面に電源ボタン。iPhoneのBluetoothをオンにして、コントローラ電源を入れるとペアリングが始まる

それでは「ソニック」からさっそくプレイ!

早速対応ゲームとしてアナウンスされている「ソニック・ザ・ヘッジホッグ 2」をプレイしてみる。ジャンプボタンを軽く押すと低く、長めに押すと高くジャンプし、プレッシャーセンシティブ機能が効いているのがすぐにわかる。

コンパクトなサイズだが作りはしっかりしていて、ボタンの感触も良好。PS3と比べるとアナログスティックのストロークは浅めだが、操作する分には問題なく、遅延もまったく感じさせない。ソニック・シリーズのようなスポード感溢れるゲームも違和感なく楽しめるクオリティだ。

「ソニック・ザ・ヘッジホッグ 2」のプレイ動画

サッカーゲーム「Stickman Soccer」
アナログスティックでプレイヤーをグリグリ操作でき、シュートの強さもボタンの押し具合で調整できる。ちなみにこのゲーム、なんとなく昔の「エキサイト・ステージ」を思い出す。

サッカーゲーム「Stickman Soccer」のプレイ動画

レーシング「Real Racing 3」
最近はスマホの傾きで操作するレースゲームが増えたが、やっぱり十字キー&アナログスティックのほうが「コントロール」している気分が味わえる。また視点切り替えもボタンでできるため、いちいち画面をタッチしなくてもいいので便利。レースゲームで言うと、人気作「ASPHALT 8: 」にも対応している。

レーシングゲーム「Real Racing 3」のプレイ動画

シューティング「R-TYPE II」
懐ゲーにも対応。アナログスティックによる繊細な動きにもしっかり反応し、ボタン連打で画面が揺れることもない。途中でポーズを押して「上上下下左右左右BA」のコマンドを押したが、それは「グラディウス」のほうだったと思い出す。

シューティングゲーム「R-TYPE II」のプレイ動画

格闘ゲーム「King of Fighters '97」
スマホでのタッチ操作では必殺技を出すのは難しいが、物理コントローラがあるため容易に繰り出すことができる。今作の技のコマンドは覚えていないが、カプコンの「ストリートファイターII」っぽく適当に入力したら技が出た。ちなみに試用した環境では同シリーズの「The king of Fighters-i 2012」での動作確認はできなかった。(編注:「King of Fighters '97」は製品ページの対応ゲームタイトルリストには載っていませんが、試用機では動作確認済み)

格闘ゲーム「King of Fighters '97」

そのほかの対応ゲームタイトルはこちら
対応ゲームタイトル一覧(英文)


結論! タッチ操作を補う本格プレイを楽しもう

アプリで出ているゲームはスマホ用に最適化されているため、要所要所で画面をタッチしなければならない場面も幾つかあった。それ以外に関してはスマホでゲームをしていることを忘れるくらいゲームに没頭できるほど。対応ゲームに限りはあるが、コアゲーマーも、このスマート・コントローラがあれば、本格的なプレイを楽しめるだろう。

スマホ本体に接続するゲームパッドなども出ているが、こちらはワイヤレス仕様のため、スマホスタンドなどを使ってプレイする環境を整える必要がある。電車の中などでの使用は難しそうだ。また当然全てのゲームに対応しているわけではなく、現在では海外ゲーム中心のタイトルが目立つ。世界的人気の「クラッシュ・オブ・クラン」などにも未対応。ただし、あのアップルが認めたゲームパッドということで、今後の対応ゲームの拡充に期待したい。

スマホゲーム全盛の今、あらゆるゲームがタッチ操作に最適化されたシンプルなゲームが増えた。しかし従来のゲームにおいてはスマホのタッチパネルは向いていないというのも事実。スマホにプラスして新しい遊びの可能性を広げるスマート・トイだが、タッチ操作というスマホの弱点を補うのもまたスマートトイの役割なのだ。

ひょっとして? Bluetoothでペアリングということで、第一回で登場した「Sphero」にも試してみたが……残念ながら動かず。また当然Androidとも接続はできなかった