パテはどうやって作っているの?

“キングオブジャンクフード”……そう揶揄(やゆ)されるほど、何かと悪者にされる「ハンバーガー」。しかし、いったい何がよくないのでしょうか? 今回はバーガーがバーガーたるビーフパテについてです。

ファストフードの世界も二極化が見受けられます。ひとつは、値段はそれほど安くない代わりに、野菜を多くしたり、商品に占める脂肪や油の割合を低くしたりしたものです。そしてもうひとつは、値段を安くする代わりに、濃い味付けでカロリーを気にしないものです。今回はとにかく悪く言われることの多い、後者の安価な方の話となります。

硬くて味のない肉は昔の話

まず、ハンバーガーといえばバーガー肉です。パテと言われ牛肉で作られています。昔は経産牛といって、乳を出さなくなった乳牛をメインに使っていました。しかし、大半がドッグフードになるような硬くて味のない肉です。そのため加工する際、他の牛の脂を混ぜ込んだり、臭いを抜くための薬品処理などしたりと複雑な作業が求められました。さらに、最も重要な「大量の需要」を満たすことができないなどの問題も抱えていたのです。

そして今、バーガー屋の肉はドッグフードレベルの肉という時代は、とうの昔に終わっています。現在は、人間の手による徹底管理された食用肉の大量生産という、交配から飼育、エサの栽培に至るまで、1社が手がける一大産業となっています。

そこで作られる肉は、あらゆる成長ホルモンを使い、カロリーの高いトウモウロコシを大量に与え、通常の牛の倍の速度で成長させられ作られます。トウモロコシ主体のエサで育てると病原性大腸菌が発生しやすく、精肉加工現場もフルスピードで行われているため、たったひとりの1回のミスで、数千というロットに病原性大腸菌が混入することが度々起きています。幸い日本には衛生検査はロットごとに行われているため、病原菌入りのものが流通する危険性はかなり低いと言えます。

ただ、残留ホルモンの問題に関してはあまりに情報が多すぎ、安全であるか危険と見るべきかに二極化しています。実際、EU諸国はアメリカの牛肉の輸入を全面禁止としています。

残留ホルモンよりも明確な問題

確かに値段と味を考えると、最もコストパフォーマンスがいいのはアメリカ産牛肉といえるでしょう。ただし、肉の中から相当量のホルモン剤が検出されるのもまた事実です。安さを売りにしているバーガーはまずこのアメリカ産パテです。また、つなぎに大量の牛脂を使うため、グラム単価の脂肪含有量は、サシがたっぷりの牛肉と大差ないものになっています。

1,2週間にバーガーを1回食べる程度であれば、まず何の毒性も気にしなくていいと思いますが、3日に1回とかの頻度で成長期の人間が食べるとなると、塩分や脂肪分が過剰になる恐れがあります。

また、カロリーの面でも、バーガーひとつで400~500kcal、ポテトで300~400kcal、更にシェイクを頼んでしまうと、それだけで1日に必要なカロリーの天井すら見えてきます。やはり「常食」にすると、炭水化物・油・砂糖の取りすぎに当たり、これらの取りすぎの危険性はうやむやな残留ホルモンや添加物に比べてはっきりしている以上、過度は摂取は控えるようにした方が無難と思われます。

筆者プロフィール : くられ

『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス、シリーズ累計15万部超)の著者。全国の理系を志す中高生から絶大な支持を得ており、講演なども多数展開している。近著に『ニセモノ食品の正体』(宝島社)がある。メールマガジン「アリエナイ科学メルマ」ツイッターなどで、日々に役立つ話を無料配信している。また、12月20日には、「シリーズ刊行10周年記念イベント」を開催する。