連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

マイホームは一定のライフステージになると検討し始める

個人の方から様々な家計のご相談を受けていて思うのは、マイホーム取得に関するご相談は、景気の良し悪しには関係ないということです。一定のライフステージになると多くの方が検討をし始めるようです。代表的な時期は、「結婚後、子供が生まれてしばらくしてから」です。

子供が生まれると、そう遠くない将来に、子供のためにもっと部屋数の多い家に引っ越しをする必要があると考え始めます。また、子供にとってどんな教育環境がいいか、そのためにはどこに住むのがいいかということも考え始めます。ただ、部屋数の多いファミリータイプの賃貸住宅に引っ越そうとした場合、2LDKまでの物件はたくさんありますが、3LDK以上の物件はあまりありません。あったとしても家賃が割高です。高い家賃を払うくらいなら、マイホームを購入して家賃分を住宅ローンの返済にあてた方がいいのではないかと考える人が多いでしょう。また、マイホームは自分の財産ですが、賃貸住宅だといつまでも自分のモノにはならず、家賃を払い続けなければなりません。

マイホームの買い時は、その方がマイホームを買いたいと思った「そのとき」でしょう。タイミングを逃すと、それだけ住宅ローンを組む時期が遅くなり完済年齢が遅くなります。家族がマイホームで一緒に過ごす計画も狂ってしまいます。

ただ、全く準備なしに購入に向かうのは危険です。少なくとも物件価格の10%程度は自己資金(貯蓄)が手元にあった方がいいでしょう。理想は30%ですが、30代前半の世帯が都会でマイホームを持つ場合、30%はかなりハードルが高いでしょう。

また、購入できるだけの貯蓄がある場合でも「いくらの物件を買うか?」が極めて重要です。マイホームは住宅ローンを使って購入する場合、「自分がいくらの物件を買えるか?」を把握できている方は多くありません。

失敗しないマイホーム予算の立案方法

マイホームを買うときに最も注意すべきことは、家計の実力を超える高額の物件を買ってしまわないことです。たとえ気に入った物件を手に入れても、そのためにムリな住宅ローンを組めば、あとで苦労します。家族の豊かな暮らしを実現するはずだったのに、ローン返済のために家計をギリギリまで切り詰めなければならないようでは、何のためのマイホームなのかがわからなくなります。

失敗しないマイホーム購入をするには、マイホーム資金の構造と、自分の家計の実力を把握する必要があります。

マイホーム資金の構造

マイホーム資金の構造は、上図のようになっています。物件価格に諸経費を加えた額を自己資金と住宅ローンで工面するという構造です。

諸経費は、契約時の印紙税や登記時の費用、ローン事務手数料、火災保険料、家具家電等耐久消費財など、取得に伴う様々な経費のことですが、マンションを購入する場合は物件価格の5%程度、一戸建ての場合は10%程度を目安と考えておけばいいでしょう。

例えば、4,500万円のマンションを購入しようとする場合の諸経費の目安は225万円です。つまり、このマンションを購入するには、諸経費込みで4,725万円が必要だということになります。

この金額を自己資金と住宅ローンで賄っていくことになります。貯蓄などのうち、住宅購入に振り向けることができる自己資金が1,000万円だとすれば、住宅ローンの借入額は、4,725万円-1,000万円=3,725万円ということになります。

多くの方は、折り込みチラシを見てマンションのモデルルームや住宅展示場に行き、様々なタイプの間取りや設備を見たり、説明を聞いたりして欲しい物件のイメージを固めていきます。具体的なイメージが固まれば、物件の価格も大体決まります。そのあと、この物件を手に入れるための住宅ローンの額が決まる……という手順で物事が進んでいくプロセスが一般的です。

しかし、これだけだとムリな住宅ローンを組んでしまうことになるかもしれません。失敗しないマイホーム購入をするには、別の観点から「自分の家計の実力を把握する」必要があります。

【次回に続く】

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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