連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

普通預金金利は0.001%、定期預金金利は0.01%の超低金利!

今や預貯金でお金を増やすことは至難のワザです。現在のメガバンクの普通預金金利は0.001%。これだと100万円を預け入れて1年間で受け取れる利息はわずか10円。実際にはこの10円から税金約20%が差し引かれるため、手取りの利息額は8円ほどです。定期預金金利も0.01%なので、利息の手取り額は約80円にしかなりません。

ネット銀行などを活用すればもっと高い利息を受け取ることができますが、それでも金利は高くて普通預金が0.02%程度、定期預金は0.2%程度です。

株や投資信託に投資をして増やす方法もありますが、これらには値動きがあり元本割れの可能性があります。短期間で確実に増やすのに適した方法だとは言えません。特に近年は経済がグローバル化したおかげで、地球の裏側で起こったことが日本の株や為替に大きな変動をもたらし、予測しにくくなっています。株や投資信託は、預貯金と比較すると高いリターンが期待できますが、「長期運用を前提とすれば」というただし書きが必要です。

そんな中、安全・確実に増やせるものがあります。それは「百貨店友の会」。実質利回りは約8.3%にもなります。

決まった百貨店で年に何度か買い物をする人は「百貨店友の会」がオススメ

「百貨店友の会」に入会して毎月定額を積み立てると、満期時に積立総額にボーナスをプラスした金額をチャージし、買物カードとして利用することができます。

たとえば、毎月1万円ずつ12カ月積み立てると、1年後に1カ月分の1万円がボーナスとしてプラスされ、合計13万円分をチャージすることができます。12万円を積み立てることで1万円増やすことができるため、利回りは約8.3%(=利益額1万円÷投資額12万円×100)になります。また、「百貨店友の会」は、預貯金の利息のように約20%の税金を差し引かれることがありません。

なお、友の会によっては「12カ月積立」だけでなく、「6カ月積立」もあります。

【東京地区の百貨店友の会】

「百貨店友の会」には他にも、ホテル、レストラン、レジャー施設など提携施設での優待サービス、劇場、コンサート、演劇、歌舞伎、映画などチケットの割引、会員限定のイベントなど、さまざまな特典があります。

「百貨店友の会」の留意点

「百貨店友の会」の積み立てで増やしたあとの活用は、その百貨店での買い物等に限定されます。そのため、年に何度かでも決まった百貨店で買物をする習慣のない人には向いていないと言えるでしょう。また、買い物の予定がないのに積み立てても意味がありません。目的が買い物ではなく、積み立てることじたいが目的になると、浪費の原因にもなりかねません。

「いつ、何を買うか」をあらかじめ明確に決めておくことが、効果的な活用につながります。たとえば、会社員の方の場合、半年に一度、あるいは、1年に一度くらいの頻度で、スーツや靴、バッグ、趣味での買い物等などをする予定がある人が、通勤沿線の百貨店の友の会に加入すれば、有利な買い物ができるのではないでしょうか。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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