起動も書類の読み込みも高速!
驚きの便利機能で簡単スキャン【2008年8月号掲載】



スペック

[発売元] エプソン販売 [価格] オープンプライス [実勢価格] 3万円台後半
[OS] Mac OS X 10.2.8以上 [解像度] 原稿台:1200dpi、ADF:600dpi [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] W470×D318×H121mm/約3.9kg [掲載号] 「Mac Fan」2008年8月号

OVERVIEW

e-文書法やJ-SOX法の施行にともない、企業では紙文書のデータ化の動きが高まっている。こうした流れを受けて書類を高速にスキャン可能なドキュメントスキャナに注目が集まる中、エプソンから「GT-D1000」が登場した。

ドキュメントスキャナというと紙を挟んで読み取るシート型が主流だが、本製品は自動原稿送り装置(ADF)を標準装備したフラットベッド型だ。最大1200dpiの解像度を誇り、最高でA4サイズのカラー文書を12枚/分、モノクロ18枚/分の速度でスキャンできる(解像度200dpi時)。

光源には白色LEDを採用し、電源投入から約1秒でスキャンが可能。また、フラットベッド型の利点を活かして、厚みのある冊子や書籍、雑誌、カード類も原稿台の上に乗せて読み取ることができるのが特徴だ。

(1) 白色LED採用の薄型モデル
光源に白色LEDを採用。フラットベッド型のスキャナにADFを標準で装備している。ADFの使い勝手は良好で、カーボン伝票のような薄い紙も問題なくロードできた

(2) ワンタッチで快適操作
本体には、ワンタッチ操作でスキャンできる4つのナビボタンを装備。複数ページのPDF保存などがワンタッチで可能だ

また、付属ソフト「エプソンスキャン」がバージョンアップし、文字の可読性を向上させる「文字くっきり機能」や、指定した色(赤・青・緑)を削除できる「ドロップアウト機能」など、紙文書の取り込みに便利な機能が追加されている。

(3) 進化したエプソンスキャン
付属ソフトのエプソンスキャンが進化し、書類スキャン時に有用な機能が加わった

(4) くっきり機能で文字くっきり
エプソンスキャンで「文字くっきり機能」をオンにすると(右)、地色を除去し、可読性がアップ。裏写りがなくなっているのわかる

(5) 特定の色を強調・削除
赤・青・緑の中から特定色を削除できるドロップアウト機能。マーカーを使ってしまった原稿もきれいに消せる

FOCUS ON

(6) プリンタと合わせてコピー
付属の「エプソンコピーユーティリティ」を使えば、エプソン製のプリンタと連携して、ワンタッチでスキャンしたデータをプリントできる

iMac G5でA4のカラー書類を速度優先モードで読み込んでみると、読み込み時間も含めて約180秒。平均すると1枚あたり約9秒という速度であり、この価格帯の製品としては非常に高速だ。速度優先モードでは200dpiとなるが画質も高く、10ポイント以上の文字なら問題なく読み取れる。

小さい文字や薄い文字は読み取りにくくなる場合があるが、「文字くっきり機能」をオンにすることで原稿の地色を除去し、コントラストを最適化してスキャンが可能。読み取り速度を維持したまま、文字の可読性をアップすることができる。

ただし、付属の「読んde!! ココ パーソナルVer.4」で、読み込んだ画像をスポットライトで検索可能なPDFにする場合、200dpiでは文字認識率が低いため、スピードを犠牲にしても600dpiでスキャンしたほうがよいだろう。

業務用途で複数人で使う場合には、ネットワーク接続に対応した高速・高画質機のほうがベストチョイスだが、小規模事業所やSOHO、窓口業務での利用には十分実用に値する本製品。個人ユースでもOCRソフトを使った書類のデータ管理に威力を発揮する製品だ。

(7) 背景があってもくっきり
モノクロスキャン時にはスキャンするエリアごとにしきい値を設定できる。例えば、色ベタ上の文字でも、きれいにスキャン可能だ

AFTER REVIEW

ドキュメントスキャナというと、真っ先にPFUの「ScanSnap(スキャンスナップ)」を思い浮かべるだろう。「S510M」は実売4万5,000円前後で、カラーの読み取り速度は最大で18枚/分(150dpi)。自動両面読み込みやiPhotoとの連携機能、そしてシンプルな使い勝手が特徴だ。フラットベッド型ではないので、厚みのある原稿は読み込めないものの、その分、本体は小型だ。デスク周りの、わずかなスペースでも設置できるというメリットがある。