連載コラム『まるみえ家計診断! プロが教える改善のコツ』では、家計簿アプリZaim利用者の中から、家計やお金のことで悩む相談者の実際の家計簿データをチェック! お金の専門家が相談者へ改善のコツをずばっとアドバイスします。


【今回の相談者】
東京都にて一人暮らし中の女性MMさん(32)。会社員として勤務され、毎月の手取り月収は約24万円で、年間のボーナスは約85万円ほど。現在の貯金額は約60万円で、他に個人年金の積み立てや貯蓄型の生命保険には加入しています。

相談者の収入データ(Zaim分析画面より)

【相談したい内容】
『将来のことを考えないと…と思うのですが、具体的な予定が立てられません。そのため、貯金へのモチベーションが全然あがらないのが悩み! 毎月何となく使って、何となく貯金をしている状況です。もっとお金に対して計画的考えて、計画的に使えるようになりたいです! 』

相談者の支出データ(Zaim 分析画面より)

今年になって家計簿を始めたというMMさん、毎月の家計簿状況を見ると収入に対して支出を上手にコントロールしている様子です。支出項目でも固定費のカテゴリ名には「【固】住居etc.」とご自身でわかりやすくカスタマイズするなど、家計への意識の高さはしっかり伝わります! 中でも、食費が家計の10%代と一般的な一人暮らしに比べて支出が大幅に低いことに驚きです。

相談者の支出詳細データ(Zaim 分析画面より)

低すぎる食費にもリスクが? 家計は全体のバランスが大切

さて、今回も家計の専門家でいらっしゃるファイナンシャルプランナーの尾上堅視先生にアドバイスを頂きます! まずは家計簿データで気になるポイントをお聞きしました。

尾上先生「食費がとても低く抑えられている点は、すばらしいの一言。とはいえ、実は少し気になる点でもあります。もし無理して節制しているようでしたら、健康への影響は十分注意してください。またそれに対して、美容や衣服への支出が26%なので、お金のかけ方のバランスはもう少し工夫してもよいかも。食事にかける費用は少し増やして、その他を抑える方が長い目で見ると健全ですね」

交際費が12%と食費よりも高い出費となっているので、MMさんは外食の費用はこちらに合算しているかもしれませんね。交際費の飲食代も、割りきって食費としてカウントしてみると、毎月の食費バランスがよりチェックしやすくなるかもしれません。おさえどころと使うところが見えやすい家計管理の仕組みがオススメです。

実は今が貯金のタイミング? チャンスを生かした仕組みづくりを

貯金にモチベーションが上がらないというMMさんのお悩みですが、何か解決策はありますか?

尾上先生「MMさんの家計簿の特徴のもう一つが、収入に対して家賃が低めに抑えられている点です。固定費の中でももっともインパクトの大きい住居費ですから、今の家計状況は絶好の貯めどきと言えます。保険や年金は将来的に活用できますが、手元資金が心もとないのは正直なところ。今は具体的な目的がないとしても、まずは毎月の生活費の1年分を目安に現金の貯金を持つことを目安にしてください。やるなら住居費の低い今がチャンス! ということを意識して集中してみると良いですね」

"何となくでも貯金できている"理由は、固定費の低さにあるんですね! そこから更にステップアップするためには「1年間」や「半年」という比較的小さく目標を立てるだけで、毎月のやりくりに変化が生まれそうです。前回もご紹介した先取り貯蓄なら、気持ちに左右されずにブレない貯金が行えるので、モチベーションの上がりにくい方にもぴったりかもしれません。

保険の保証内容や払込期間は必ず確認すること

尾上先生「また、きちんと保険や積み立てを毎月コツコツと行っているので、長期的な貯金については安心ですね。ただ、貯蓄性の生命保険については念のため払込期間などを改めて確認しておくことが大切です。途中解約でどの程度マイナスになるかは必ず認識しておいてください。医療保険も同様に保障内容や払込期間は必ず確認しておくこと。万が一は不安があるかもしれませんが、高額療養費制度など国の保障制度についても調べておくことで、保険のかけすぎにならないよう注意してくださいね」

高額療養費制度とは、1カ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分が、あとで払い戻される制度です。ご自身の給与によって自己負担額は異なりますが多くの場合8万円程度が限度額になります。制度の内容をきちんと知っておくことで、少しでも不安を解消することが大切ですね。

保険商品は年払いのものもあり、毎月の家計簿では少し見えにくい支出にもなります。クレジットカードやジムの年会費なども同様ですが、年ごとの"収入・支出・貯金"のバランスはどうか? というチェックも忘れずに行うことがオススメです。家計簿アプリなら簡単に"週ごと・月ごと・年ごと"に集計を切り替えられる機能があることも多いので、是非活用してみてください。

家計診断協力

尾上堅視
2005年に資産運用を身近なものにするためのサイト「かえるの気長な生活日記。」を立ち上げ。資産運用を長く続けていくための情報を個人投資家目線で発信、注目を集める。2010年12月より家計の総合相談センターにファイナンシャルプランナーとして勤務。生活者の目線で、お金と仲良くおつきあいする方法の伝え方に定評がある。

執筆者

綿島琴美
家計プランナー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。Android, iPhone, iPad や Webから利用できる日本最大級の家計簿サービス「Zaim」にて、としてユーザーへの家計サポートを行う。レシート自動読取り機能や銀行とのデータ連携など、アプリを活用した家計の仕組みづくりを提案。初の監修本『Zaimのシンプル家計術』(ナチュラルライフ編集部編、税込み842円)が学研プラスより好評発売中。