富士通クライアントコンピューティングは17日、同社製ノートPC「LIFEBOOK」やデスクトップPC「ESPRIMO」2017年秋冬モデルの新製品発表会を開催した。同日都内で開催された発表会では実機が展示され、同社代表取締役社長の斎藤邦彰氏は、特に注目したい新製品として15.6型ノートPC「LIFEBOOK AH」シリーズ、13.3型モバイルPC「LIFEBOOK UH」シリーズ、Windows Mixed Reality対応ヘッドセットの3製品をアピールした。

VRヘッドセットが発表された富士通クライアントコンピューティングの新製品発表会にて。左から順にDMM.com 執行役員 動画配信事業部 電子書籍事業部 事業部長の山本弘毅氏、富士通クライアントコンピューティング代表取締役社長の斎藤邦彰氏、Microsoft Corporation Partner Devices & Solutions, Vice PresidentのPeter Han氏、日本マイクロソフト 執行役員常務 コンシューマー&デバイス事業本部長の檜山太郎氏

富士通の2017年秋冬モデルのラインナップは下記となる。メインストリームとなる15.6型ノートPC「LIFEBOOK AH」をはじめとした高性能モデルで、Intelの第8世代Coreプロセッサを採用。また、17日から提供を開始したWindowsの大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」で搭載しているWindows Mixed Reality機能に対応したモデルも、AHシリーズや一体型デスクトップ「ESPRIMO FH」シリーズなどで提供している。発表された製品は下記の通り。

LIFEBOOK AHシリーズとLIFEBOOK UHシリーズ

LIFEBOOK AHは狭額縁のシンプルデザインに

斎藤社長がアピールした3機種のうち、「LIFEBOOK AH」シリーズは従来モデルからデザインを一新。ベゼル内に配置されたアンテナケーブルを液晶背面に移動させ、ヒンジの補強構造を変更することで、サイドのベゼル幅を9.7mm狭めた。また、ベゼル上部に配置していたWebカメラを小型化し、上部のベゼル幅も従来から約6.2mm縮小。結果として、本体サイズが全体で従来比15%小型化している。

サウンド面では、キーボード面上部にオンキヨー共同開発のスピーカーを搭載。スピーカーは従来から約16%の容量アップを果たしているが、これは内部基板を縮小させスペースを空けたことで実現している。

光沢感のある青で彩られた「メタリックブルー」カラーも新たに追加。キートップも含め落ち着いたブルーながら光を受けわずかに輝きを持つ、上質感のあるきょう体だ。また、キーボードはキートップを本体カラーと揃えたほか、キーサイドのスペースを縮小。よりシンプルなデザインに仕上げ、統一感も図った。斎藤社長は「打ちやすさは妥協しない」と打鍵感への自信をみせる。

LIFEBOOK AHシリーズの特徴

基板とディスプレイ部のパーツ配置。基板は左側が従来モデルのもの、右側が新モデルのもの

メタリックブルーのキーボード面

前モデル(右)と新モデル(左)のデザインの違い

LIFEBOOK UH75は最軽量を更新、打鍵感も大幅に改善

LIFEBOOK UH75/B3のピクトブラックとサテンレッド。ピクトブラックは748gだが、塗装の必要なサテンレッドモデルは751gとなる

LIFEBOOK UHシリーズは、UH75/B3のピクトブラックモデルで、13.3型液晶搭載ノートPCとして世界最軽量の748gを実現した。前モデル「LIFEBOOK UH75/B1」は約761gで世界最軽量をうたっていたが、今回の新モデルで従来から13gの軽量化を果たし、最軽量記録を更新した。斎藤社長によると、前モデルをリリースした時点から、製品担当エンジニアは同モデルの軽量化方法を考えていたという。

軽量化にあたっては、本体キーボード面および底面の肉抜き加工と、バッテリ部分のフレームケース改善が大きく貢献した。肉抜き加工では、パームレスト部裏側の一部を丸型に削り込むことで約5g軽くした。また、バッテリのセルを格納していたフレームケースの不要な部分を落とすことで、7g程度の軽量化を果たしたという。

キーストロークは従来の1.2mmから1.5mmへ0.3mm深くなり、指にフィットする球面シリンドリカルキートップが採用された。実際に前モデルと新モデルを打ち比べてみたが、打鍵のしやすさは格段に向上している。0.3mmの差だが、かなり違う印象だ。

また、この秋冬モデルではホワイトモデルが初登場した。上位のUH90/B3の筐体をベースとするが、第7世代のCore i3-7130Uを搭載した916gの製品となる。

新旧パームレストの比較。裏側には薄肉化のための丸い穴が刻まれている(左が秋冬モデル)

新旧バッテリ比較。従来は左側のように、中央にのみバッテリがあったものの、左右までフレームが伸びていたが、この秋冬モデルでは右のように、左右の不要なフレームを廃した

新カラーのホワイトモデル。ホワイトの塗装が施されている

1年がかりで開発したMRヘッドセット

富士通のMixed Reality対応ヘッドセットとコントローラー

Mixed Reality対応ヘッドセットは、斎藤社長が「できるだけ早くやりたいと考えていた」という意欲的な新製品。国内では日本エイサーやデル、レノボ、日本HPなどが発表しているが、国内メーカーでは富士通が初の参入となる。実売5万円強という戦略的な価格も「頑張った部分」という。

詳細はニュース記事に譲るが、新製品は"VR寄りのヘッドマウントディスプレイ"といい、開発には1年以上を費やしたとのこと。ゲストとして登壇した、日本マイクロソフト 執行役員常務 コンシューマー&デバイス事業本部長の檜山太郎氏は、「VRやARは分かれて考えられているが、Microsoftでは用途に合わせて提供されるべきだと考えられており、従ってMixed Realityとしている」と、Mixed Realityを説明。一般的には、ヘッドセットやコンテンツに現実空間を認識する能力があるかどうかでMRとVRの違いがあるとされるが、今回のヘッドセットはVR側に寄った製品だという。

特別な機能や高性能パーツを搭載したPCではなく、普通のPCでMRやVRが使えることが重要とし、檜山氏は「一般のPCで楽しめて、簡単に設定できる。接続するだけで体験できる。これが画期的なこと」と、富士通のMRヘッドセットおよび、MR対応PC製品を評価した。富士通では、15.6型ノートPC「LIFEBOOK AH」シリーズにMRヘッドセットを同梱したモデルも用意。今後は400以上の店舗で製品展開を考えているという。

斎藤社長は、同社のキャッチコピーである「『ずっとあなたと。』を大事に、ユーザーに寄り添った製品を出していく」と締めくくった。

MRヘッドセットとコントローラーはOEM製品で、本体正面に富士通のロゴが入れられている。頭に当たる部分にはメッシュ仕様のクッションが備えられており装着感は良い

コントローラーは標準で右手用、左手用の2つが同梱される