近年、「働き方改革」という“号令”がビジネスシーンで飛び交っている。「ノー残業デー」を筆頭に、各企業がこのテーマに取り組んでいる。なかでも注目されているキーワードがリモートワーク。この働き方に取り組む2社を取材した。

2017年7月24日、政府のかけ声によって「テレワーク・デイ」が実施された(本稿では以下、リモートワークと表記)。これは、3年後の東京五輪開催による交通混雑を避けるため、リモートワークを演習しておこう、というのが主旨だ。900以上もの企業・団体が参加し、当日は「NECから社員が消えた!?」というような報道が話題になった。

潮目が変わり始めた海外のリモートワーク

一方で、リモートワーカーがスタッフの約40%というIBMが遠隔勤務を廃止し、オフィス勤務か退社かという二択を突きつけた。チームワーク不足、コラボレーション不足が原因といわれているが、なかには「静かなるレイオフなのでは?」という声もある。

政府を挙げてリモートワークを推奨している日本とは、異なる“潮目”となっている海外の動きは気になるが、「リモートワークとは何ぞや?」を知るため、すでに取り組み始めている企業におじゃました。

UZUZ 経営企画室 室長 羽原佳希氏

1社目は、第二新卒・既卒・フリーターの就活サポートを行うUZUZ(ウズウズ)。同社には3人のリモートワーカーがおり、そのうちの一人、UZUZ 経営企画室 室長 羽原佳希氏に話をうかがえた。

まず、経営企画室という所属に首をかしげた。一般的に経営企画といえば管理部門、いわばバックオフィスだ。筆者のリモートワークのイメージは、デザイナーやコピーライター、プログラマーといった、“クリエイティブな領域で行われるもの”だった。しかも室長という責任のある立場の方が、なぜリモートワーカーなのか。

羽原氏は「リモートワークを始めたそもそものきっかけは、家族の体調不良により、地元である神戸に戻ろうと思ったためです。悩んだ末に退職を決意したところ、副代表から『この会社が好きならリモートワークで続けないか』との提案を受けました」と話す。そしてこの提案を受け、出身地である兵庫県・神戸市の実家に移り、リモートワークで日々の業務をこなしている。