【インタビュー】

みんなが聴いてるラジオ番組は? - 聴取率16年トップのTBSラジオに聞いてみた

ラジオのタイムテーブルには情報系や音楽番組、プロ野球中継などが並ぶ。好きなアーティストやタレントが出演する番組も見つかるかもしれない。そんなラジオも、テレビの視聴率のように、どれくらいの人が聴いているのかという指標「個人聴取率」が、ビデオリサーチ社によって調査されている。

マイナビニュース編集部に「みんなが聴いているラジオ番組が知りたい」という読者からの声が届いた。そこで、個人聴取率の局別ランキングで16年首位をひた走るTBSラジオ取締役編成局長・古川博志氏に、人気番組について聞いてきた。

『伊集院光とらじおと』

――最新の聴取率調査(ビデオリサーチ首都圏個人聴取率調査2017年6月12日~18日)で『伊集院光とらじおと』(毎週月~木曜8:30~)が1.8%を獲得し、ワイド番組週平均ランキング1位でした。長年続いた『大沢悠里のゆうゆうワイド』の後継番組として昨年スタートした新しい番組ですが、人気の理由を教えてください。

ラジオのゴールデンタイムでもある平日午前は、TBSラジオが『大沢悠里のゆうゆうワイド』で30年かけて築いた盤石の時間帯です。大沢悠里さんから伊集院光さんへ、ラジオ業界のエースからエースにしっかりと継承されましたので、1位を死守していることは決して意外なことではないと思っています。伊集院さんとTBSラジオの付き合いは長く、かれこれ20年以上。存在感を強めていった伊集院さんが平日ワイドを務めていただくことになったのは自然な流れでもあり、リスナーからも"待ってました"という思いがあったからこそ、それが数字に表れていると考えています。

また、もうひとつの後継番組である『ジェーン・スー 生活は踊る』(毎週月~金曜11:00~)も期待に沿うかたちで結果を出し、手応えを感じています。ジェーン・スーさんは、初めてTBSラジオに出演していただいた2010年頃は、知る人ぞ知る存在でしたが、出演していただくなかでパーソナリティとして頭角を現していきました。とにかく発言が的確。ズケズケと物を言ってるようでいて、底辺には優しさが流れ、そんなところが共感を得ています。ラジオは日常の中で生活に寄り添ったメディアですから、本音を話しながら、常にリスナーのことを考えている伊集院さんやジェーン・スーさんは、素晴らしいラジオパーソナリティだと思います。

――伊集院さんの番組に続いてワイド番組週平均ランキング2位、聴取率1.7%の『安住紳一郎の日曜天国』(毎週日曜10:00~)も本音トークで人気を得ています。それこそ、テレビにもネットにもないラジオの面白さなのでしょうか。

ラジオはテレビよりも一歩踏み込んだ本音、ネットよりは多くの方に受け入れられる品格・センスが求められていると思いますが、そうしたものの根底にあるのが「リスナーを楽しませたい」という思いだと思います。安住アナウンサーがTBSテレビの土曜日夜の生放送『情報7daysニュースキャスター』を担当しながら、翌日朝のラジオの生放送を続けているのは、体力的にしんどい時もあると思いますが、「リスナーを楽しませたい一心」からでしょう。この思いは、他の出演者・スタッフにも共有されています。ゲスト選びから番組のジングル作成、さらにはメールを紹介させていただいた方に送る御礼のハガキの挿絵や切手の種類まで、"安住イズム"ともいえる、安住アナウンサーのこだわりが番組の隅々まで行き届いています。

――ワイド番組週平均ラインキングトップ10の番組にTBSラジオが8番組も占め、全日(6~24時/個人全体)の局別ランキングでもTBSラジオがトップ。2001年8月以来、16年間首位をキープしています。TBSラジオの強さをどのように分析していますか?

TBSラジオの古川博志取締役編成局長

16年前のタイムテーブルをみると、小沢昭一さん、永六輔さんなどレジェント級のパーソナリティの番組がそろっていました。現在は、その時にはなかった、伊集院さん、ジェーン・スーさん、安住アナウンサー、ライムスターの宇多丸さん、爆笑問題さん、ナイツさんの人気番組が並び、急激ではなくゆっくりとしたペースで、しかし確実に変わってきています。ラジオの改編は気づいたら変わっていたぐらいの方がいいんです。ガラッと変わるとリスナーにフィットしない局になってしまいがちですから。番組はたいてい2年続けてやっと腰の据わった番組になっていくものなので、いたずらに改編してはいけないと思っています。

――深夜帯はニッポン放送の『オールナイトニッポン』という長年築くブランドがありますが、聴取率をみるとTBSラジオの『JUNK』も強いですよね。

はい。実はTBSラジオの深夜帯は平日全曜日同時間帯トップです。『伊集院光 深夜の馬鹿力』(毎週月曜深夜1:00~)が最新結果で1.2%。人数で換算すると、生放送で聴いている方は43万人ほどいらっしゃいます。『バナナマンのバナナムーンGOLD』(毎週金曜深夜1:00~)も0.9%と好調です。インターネットで聴けるradikoで、聴き逃しサービスのタイムフリー機能が追加された影響もあって、これまで「生ではちょっと聴けないよ」という方にも注目度が上がり、リスナーもスポンサーも増えています。"深夜ラジオ再活況時代"に入っています。

TBSラジオでは2002年に深夜帯を改革し、お笑いに特化した経緯があります。現在は伊集院さん、爆笑問題さん、山里亮太さん、おぎやはぎさん、バナナマンさんが並び、これまでに小堺一機さん、関根勤さん、雨上がり決死隊さん、極楽とんぼさん、さまぁ~ずさんなどが担当されています。ミュージジャンの方や文化人などバラエティなメンバーがそろう『オールナイトニッポン』に対して、TBSラジオはお笑いで勝負しています。10年をへて、それがリスナーに受け入れられ、TBSラジオを聴けば、"今、一番面白い人たちがしゃべっている"という信頼感を得られているのだと思います。

――radikoやワイドFM(※1)、ラジオクラウド(※2)など聴取環境が整いつつあるなか、以前と比べて番組内容も変化しているのでしょうか。

2カ月に一度、日記式の調査で行われている聴取率調査に比べて、radikoでは聴取いただいている方の実数がビビットにわかるようになりました。コーナーのパワーが落ちていることなども分析できるようになり、番組のつなぎ方や流れなどを研究しやすくなっています。大事なことは、数字に潜んでいる「リスナーの声」に耳を傾けることです。放送に臨む心持ちとしては、リスナーが多くいるからといってアジテーション演説風に話すのではなく、リスナーひとりひとりに語り掛けることが大事です。

リスナーの皆さんの間には、自分の好きな番組が多くの人に聞かれてほしいという心理はあるかもしれませんが、根本にあるのは、やはり自分のハートにラジオパーソナリティが応えてくれているかどうか、だと思います。リスナーの信頼を得るのは何十年もかかりますが、失うのは一瞬です。日々緊張感を持って、リスナーが何を求めているのか、考えています。10月以降は、話題の「スマートスピーカー」をフォーカスする番組を編成する予定です。AIを番組のなかでどのように生かしていくのかなど、新たなデバイスにも注目して取り組んでいきます。

(※1)…TBSラジオなどAM局の放送がFMでも聴けるサービス。
(※2)…AM・FM局の一部の番組を時間や場所を問わず再生できるサービス。

今週は聴取率調査が行われ、各局スペシャルウィークとして、特別ゲストやプレゼント企画などを用意し、盛り上げている。日頃の"番組力"がわかる集大成の週でもあるので、気になる番組を一度チェックしてみてはいかがだろうか。

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