東京23区の小中学校でICT(情報通信技術)の導入が進んでいる。背景にあるのは、2020年度から順次始まる新学習指導要領。プログラミング体験の導入が示され、ICT環境の整備が求められているのだ。

23区のうち、千代田区、新宿区、江東区、杉並区などは、今年度予算にパソコンやタブレット端末の導入費用を計上。渋谷区では、区内の全小中学生を対象に、人数分の端末などを一斉導入する。これらの動きについて、区の担当者に取材した。

東京23区でICT教育が最も進んでいる自治体は?(画像はイメージ)

渋谷区は1人1台のタブレット

渋谷区は今年度、ICT教育関連の事業費として7億8,200万円の予算を確保した。内訳は児童・生徒・教職員に貸与するタブレット端末と、データ通信用のSIMカードが8,600台分。それに加え、電子黒板機能付きプロジェクターなどの機器や、教職員の業務負担を減らすための統合型校務支援システムの導入費用などをあげている。

これらの一斉導入により、区内の児童・生徒・教職員1人につき1台の端末が行き渡ることになり、授業時間内のみならず、端末を自宅に持ち帰って利用することも可能になるという。

区ではタブレットを使った学習として、協働学習用ソフト「コラボノート」やオンライン学習教材「スタディサプリ」の利用を予定している。「コラボノート」は、大人数が同時に意見を書き込むことのできる掲示板機能や、写真・説明を地図上に加えて共同で編集する機能などが授業に活用できる。また、「スタディサプリ」は授業の動画やデジタルドリルが、自宅での予習・復習に利用できると想定している。

オンライン教材で学力がアップする!?

区の担当者は「ITリテラシーがあがることはもちろん、家庭学習に使えることで学力の向上にもつながるのではないか」と期待を寄せる。実際、昨年度に区内の中学校で行った実証実験では、スタディサプリの導入後に到達度テストの得点が平均20点上がったという結果もあるそうだ。

渋谷区は9月からタブレット端末の貸与を始める。配布にあたり、有害サイトや動画、SNSサイトなどが利用できないように規制をかけるほか、「小学生は夜10時まで」などの時間制限を設ける予定だという。