雇用形態の複雑化、長時間労働、ハラスメントなどにより、うつ病や統合失調症といったメンタル疾患にかかる人が増えています。これらの病気は治るまで長期間にわたることが多く、働けなくなるケースも少なくありません。しかし、これまではメンタル疾患で働けなくなる=収入減、という不安に応える民間保険がほとんどありませんでした。まだまだ商品数も少なく「特約」という形ではありますが、メンタル疾患で働けなくなることに備えられる保険が登場しています。

メンタル疾患の患者は年々増えている

厚生労働省が重点的に対策に取り組む疾病と位置付けてきた「4大疾病(がん、脳卒中、心臓病、糖尿病)」に、1990年代後半から急増していた精神疾病をくわえ「5大疾病」としたのが2011年。その後も、患者数は下図(厚生労働省「患者調査」)のように増加しています。

メンタル疾患を有する総患者数の推移(厚生労働省「患者調査」を元に作成)

メンタル疾患は治療をしながら働き続けることは難しいことが多く、社会人の場合は状態が悪いと会社を休職することにもなりかねません。それを裏付けているのが下図。全国の常用労働者50人以上を雇用している企業2万社を対象に行った「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」(平成25年/労働政策研究・研修機構)によると、1人以上の休職者がいる企業で、休職理由となっている疾病の約42%がメンタルヘルスなのです。

病気休職制度を利用した人が1人以上いる企業の疾病別割合(労働政策研究・研修機構「平成25年 メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」を元に作成)