町工場と一体となり製品開発

ネットde手帳工房サービスの実現には、一冊からの個別印刷と手帳として使いやすい製本、個別配送で起こりやすい誤配達防止策が求められる。そのため、同一レイアウトで大量生産の従来型手帳よりコストがかかるそうだ。

そこでキヤノンITSはサンコー(印刷)、篠原紙工(製本)と共同で製品開発を実施。印刷はオンデマンド印刷を採用し、複数面割付で効率をアップ。製本は手帳に求められる「平置きしても閉じない機能」を実現するため、PUR製本(ポリウレタン系接着剤を背加工処理に利用した製本)を採用した。さらにキヤノンITSが中心となり誤配送防止システムを構築、物理的に誤配送を排除することで、商品化に至ったそうだ。

サンコー 経営企画室 有薗悦克室長「印刷物は『大量に刷って大量に配る』が従来のスタイルだが、一人一人に違う内容を印刷する時代になるのではと思っていた。すべての工程において今までのフローを壊す必要があったが、(ネットde手帳工房を)何が何でも形にしたいと思っていた」

篠原紙工 篠原慶丞代表取締役「紙は『感動』『機能性』『伝える力』『所有欲』を満たすもの。紙だからこそできることがある。(ネットde手帳工房は)機能性に優れた商品になるのではと思った。製本業も大量生産がメインの仕事で製造工程に課題はあったけれども、どうやって使いやすい手帳を一冊ずつ作れるかを考えた」

右からサンコー有薗室長、キヤノンITS小野グループ長
OTA FACTORY中島取締役(写真素材を提供)、篠原紙工篠原代表取締役

価格は200ページで5,400円

サイズはA5縦サイズ(今後サイズ展開の可能性あり)。ページ数は200ページ。表紙はブラウンで中紙はクリーム色。中紙の詳細については明かされなかったが、「中紙は万年筆ユーザーにも配慮し、裏抜けしにくいようにした。また『白だとまぶしい』という声があったので、紙の色はクリーム色をセレクトした」(小野グループ長)とのこと。

価格は送料・税込みで5,400円。従来型の手帳と比較すると高価な印象だが、カスタマイズの自由度と一冊から印刷できる点を考えると価格相応かもしれない。

上から万年筆青インク、万年筆赤インク、フリクション、ボールペンで試し書き。
インクにもよるが、上質な紙でインクの裏抜けはほぼなさそうだ

ネットde手帳工房のサービス開始は2017年9月4日から。6月29日よりサイトで手帳デザインの無料体験ができる。納期は注文から2~3週間。手帳カバーは附属しない。決済はカード・コンビニ決済・Pay-easy。

なおネットde手帳工房で作成された手帳(商品自体の名称は「ワタシメイド手帳」)は7月5日~7日に東京ビックサイトで実施される「国際文具紙製品展(ISOT)」に出展予定。ただし、ISOTは商談を目的とした展示会のため、一般の入場は不可。