世界文化遺産・姫路城。2009年から5年間、大天守部分の修理が行われたが、その工事中の様子を間近で見学できる施設「天空の白鷺」が人気を博した。さらに改修後もARアプリを導入するなど来城者が楽しめる仕掛けが随所に散りばめられ、訪日外国人の数は改修前に比べ3.6倍になったという。マイナビニュースでは関係者への取材をもとに、“平成の大修理ドキュメント”を2回にわたってお届けする。
大天守部分を覆った巨大なメッシュシート
姫路城大天守保存修理事業が立ち上がったのは、2009年6月のこと。その経緯について、姫路市の姫路城管理事務所副所長の春井浩和氏は次のように振り返る。
「1964年の“昭和の大修理”から約50年が経過し、漆喰や瓦などの傷みが目立つことから、修理が決定しました。その際、ただ修理するだけでなく、築城以来400年の歴史を誇る文化財そのものを見てもらおうと、保存修理工事そのものを見学させるという構想が生まれました。世界文化遺産修理の常時公開は日本初の試みです」