MM総研は15日、国内MVNO市場の2017年3月末実績を発表した。それによると、MVNOが展開する独自サービス型SIMの回線契約数は、前年比50.2%増の810万回線だった。増加自体に疑問はないもの、問題はその内訳。UQ mobileが急激に契約者を獲得しているのだ。
2017年3月末時点の携帯電話契約数は1億6273万回線となっており、独自サービス型SIM(いわゆる携帯電話に直接挿して利用するSIMで個人・法人利用を含む。ただし、M2Mなど一部の契約は除外)は全体の5%を占め、昨年3月末に比べて1.6ポイント増加した。
MVNO別シェアは以下のとおり。1位のNTTコミュニケーションズ(OCN モバイル ONE等)が138万回線で17%、2位のインターネットイニシアティブ(IIJmio SIM・BIC SIM等)が120.8万回線で14.9%、3位の楽天(楽天モバイル)が78万回線で9.6%、4位のケイ・オプティコム(mineo)が60.2万回線で7.4%、5位のプラスワン・マーケティング(FREETEL SIM等)が43.3万回線で5.3%、6位のビッグローブ(BIGLOBE SIM等)が40.2万回線で5%、7位のUQコミュニケーションズ(UQ mobile)が35.1万回線で4.3%だった。
MM総研が公表した2016年9月末からのシェアでは、最上位2社のシェアが若干減少したことに加え、6位のU-NEXTがランク表記外までシェアを落としたというトピックはあるものの、上位4社の順位変動はなかった。
MM総研は今後の動向について、2018年3月末予測は1170万回線、2019年3月末で1570万回線と予測。2019年度に入ってからIoT向け需要の拡大が期待され、成長を加速すると予想している。
今後注目すべきは?
今後、注目すべきは、MVNOシェアだ。市場全体はどの調査会社も拡大が続くと予想するが、その中身となるシェアについて、大きな変動が見込まれるからだ。
特に7位にランクインしたUQコミュニケーションズの動向は見逃せない。同社が本格的にMVNOビジネスを開始したのは昨年の10月からだ。テレビCMを活用して認知度を拡大させ、短期間で急速に契約回線数を伸ばしている。さらに、早期に契約回線数3ケタ(100万契約)を標榜しており、次回の調査結果にはその順位が上位に変動していてもおかしくはない。 飛躍の要因は、資金力を生かしたテレビCMの効果が多分にあると見込まれ、同社よりも資金力に乏しいMVNOは打つ手が限られてしまっている側面もある。
本来であれば、独自かつ魅力あるサービスが各社から提供されている状態が望ましいが、ざっくりと表現すると、MVNOは同一の方向に向かっているとも言える。各社とも「安心・安全」をキーワードに量販店での対応強化、リアル店舗の出店、サポート体制の充実化を図り、契約者を獲得している現状がある。
サービスの差別化が乏しければ、認知度によって勝敗が決定してしまう。今後はどう差別化を図っていくかも求められそうだ。
もうひとつ。MVNOユーザーの動きにも注目したい。ケイ・オプティコムによると、大手携帯会社からMVNOという流れだけではなく、MVNOから他のMVNOへ移動するユーザーも増えており、キャンペーンにより長期利用者向けのプランをこのほど発表している。数量から市場動向の把握と同時に、定性的な変化にも重要になりそうだ。