私たちの体は、私たちが食べたものによって構成されていると言っても過言ではない。鉄が欠乏すれば貧血に、ビタミンが不足すれば免疫力の低下につながると言われるなど、毎日の食事が健康に及ぼす影響は大きい。それだけに、日々の食事を通じて自身の体調をきちんと管理することが、賢い健康術と言えよう。
それでは、具体的に何を食べれば体によいのだろうか。海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「食生活とガンの関係」に関するコラムが掲載されたので、本稿ではその内容を紹介しよう。
食生活とガンに関する真実
現代は2人に1人がガンになる時代。ガンへの対処法は健康寿命を延ばすうえで必要不可欠であるが、栄養士として25年間にわたり活躍してきたジェーン・クラーク氏は、ガンの罹患リスクを下げる食事のヒントを示している。
近年は英国人におけるガンの死亡例が増加している。英国人女性の間で最も多いガンである乳ガンは、毎年約5万4,000件の新しいケースが報告されており、女性におけるガンによる死因の第3位である腸ガンは、50歳未満での罹患率が45%増加しているという。さらに国家統計局によると、膵臓ガン患者は2012年から8%伸びている。
胃ガンから腸ガンに至るまで、ガンの多くは食生活や体重増加に関連していると考えられている。英国国民保健サービス(NHS)は、腸ガンの3分の2は食生活と生活環境をよくすることで予防できたとしており、米国国立ガン研究所の最近の研究は、体重増加と胃ガン・食道ガンは密接な関係があると報告している。
また、世界ガン研究基金によると、地中海式食事を取り入れると、最も危険な形式の乳がん罹患リスクが40%下がる一方で、ウエスト周りの体重増加と子宮ガン罹患リスクの間に強い関係があるという。ウエストサイズがほんの少し大きくなるだけで、子宮ガン罹患リスクは21%増加したとのこと。
このように、食べ物や栄養は私たちの幸福とガンの罹患リスクに極めて大きな影響を与えている。すでにガンと診断されていても、今後に何を食べるかは非常に重要になる。ただ、残念なことに食べ物とガンの関係について、多くの誤解があるとクラーク氏は主張している。
巷には様々な「奇跡」を起こすガン対策用食事療法があるが、「特定のものを食べないような食事療法には手を出さない方がよいと強く言いたい」とクラーク氏は指摘する。
そのような食事療法は「ガンになるのではないか」という恐れを助長するだけではなく、ガン患者がそのような食事療法を取り入れれば、悪い結果を引き起こす可能性があり、栄養不足になることもある。そして、そのような極端な方法がよいという証拠はないのが実状だ。