心が疲れているサインとは?

激務や過労が社会問題となっている昨今。「不安で眠れない」「休みの日も仕事のことが頭から離れない」など疲れの兆候があっても、責任感から耐えようとしてしまう人もいる。そして出社ができなくなり、治療のために休職を余儀なくされるケースも少なくない。

では職場で、どのような心身の異変を感じたら、休むべきなのだろうか。今回は、精神科の高木希奈医師に、心が疲れているときの症状と対処法などについてうかがった。

「心が壊れる前兆」を見逃さないように

心と体は密接に関連しています。心に不調をきたすと、だるさや肩こり、頭痛、吐き気、痛みなど体にも不調が出てきます。逆に、日常生活で疲れがたまったり体の不調があったりすると、気分まで落ち込むなど精神的にも不安定になるものです。

体の蓄積疲労は「心が壊れる前兆」になりかねないと覚えておきましょう。

精神的に疲れた……心が疲れているのを示す12のサイン

「最近ひどく気分が沈みがち」「何に対してもやる気が出てこない」などと感じている人は、心が疲れている可能性があります。

心が疲れているサインとして、主に次のような心身の不調が現れます。今の心の状態をチェックしてみましょう。

  • 遅刻が多くなる
  • 夜眠れないため、会議中に居眠りをするなど仕事中も眠気がある
  • いつもと比べると元気がなさそうに見える
  • 身体のだるさがあり、ちょっとしたことでもすぐに疲れてしまう
  • 集中力や注意力の低下があり、ケアレスミスが増える
  • 意欲が出なく、仕事の能率が下がる
  • (上記のような理由で)仕事に支障をきたすことから、自分はダメな人間だと思い込んだり、自分に自信がなくなったりする
  • 気分が落ち込んで、全てを悲観的に考えてしまう
  • 人付き合いがおっくうになり、職場の飲み会などイベントに誘われても断ってしまう
  • 身だしなみに気を使えなくなり、身なりが乱れるようになる
  • 食欲が落ちて吐き気がするので、あまり食事が喉を通らない
  • 頭痛や胃痛、肩こりなど、体の不調や痛みが出てくる

これらの項目に当てはまる人でも、最初のうちは、なんとか会社には行けているかもしれません。しかし症状がひどくなると、会社に行くこともできなくなったり、身の回りのことすらできずに日常生活に支障が出たりする可能性もあります。

うつ病になりやすい人の特徴

どちらかというと、女性より男性の方がうつ病にはなりやすいと考えられています。それは、右脳と左脳をつなぐ「脳梁(のうりょう)」の幅が、女性は男性の1.5倍も広いためです。脳梁が広い女性の脳は、左右の脳をバランスよく機能させて一度に多量の情報交換を行い、同時進行で複数のことをこなせるのに対し、脳梁が狭い男性の脳は、1つの物事に集中して取り組むのに向いています。

ですから、女性は仕事をこなしながら、恋愛も友人関係も子育ても家事も全部同時進行で進められます。一方の男性は、仕事が忙しくなると、仕事に集中するあまり他のことがおろそかになる傾向に。さらに、女性はおしゃべりなどでストレス発散をするのが上手なのに対し、男性は建前やプライドの世界で生きているので、愚痴を言いづらく自分の中にため込んでしまいがちです。

また、年齢とかけ合わせた傾向では、うつ病は中高年の男性に多いと言われています。若年でうつ症状が出現している方は、双極性障害など別の疾患の可能性が高いです。