通信を通じて様々なものにつながるIoT家電が当たり前になりつつある時代になった。そんな中、パナソニックは、新しいタイプのビジネスにたどりついた。

パナソニックがIoTの焙煎機を開発

パナソニックは、プロ仕様の焙煎機を製造しているイギリスのベンチャー企業「IKAWA」社と技術提携し、きめこまかな温度や、風量制御などによって豆ごとの最適な焙煎ができる家庭用の焙煎機を開発した。この焙煎機はBluetooth接続でスマホ(iOS搭載端末のみ対応)につながるようになっている、いわゆるIoT家電だ。

家庭用なのでサイズはコンパクト、ボタンは1つしかない。スマホの画面には、残り時間が表示される

機械の操作は簡単だ。専用のアプリから焙煎プロファイル(焙煎工程のプログラム)を焙煎機にとばし、生豆を準備したらセット完了。1つだけあるボタンを押すと、予熱が始まり、その後焙煎へと進む。この間、工程ごとの残り時間がアプリ上で表示される。

焙煎のプロファイルによるが、会見のデモンストレーションでは、全体で大体20分くらい。アプリから送られたデータによって、本来プロが手間ひまかけて行う焙煎を、簡単に再現できるというのだ。

なぜ、パナソニックはコーヒーの焙煎機に目をつけたのか。

ヒートアップするコーヒーをめぐる市場

日本のコーヒー市場は年々拡大している。大量生産により、安価で一般家庭でも飲めるようになった「第一の波」、米シアトル系のコーヒーチェーン店が広まった「第二の波」、そして豆の産地や種類・抽出にこだわるスペシャルティコーヒーが登場した「第三の波」。消費量とともに質もどんどん上がっている。

そんなコーヒーをめぐる市場では、現在、缶コーヒーや、インスタントコーヒーなどを製造している飲料メーカーから、スターバックス、タリーズコーヒーといった「第二の波」のコーヒーチェーン、セブン-イレブンやファミリマートなどのコンビ二、マクドナルドのファストフード、そしてブルーボトルコーヒーに代表される「第三の波」の新しいコーヒーチェーンなど多様な業界からの参入が起きている市場だ。日本の消費者の舌はどんどん肥えていき、それに応えるように、新しいコーヒーが出てきているのが現状だろう。