【レポート】

宮島は嚴島神社のみならず! "弥山"は日本人が知らないミシュラン三ツ星絶景

広島県廿日市市、日本三景にも数えられる安芸の宮島は日本人のみならず外国人にも人気の観光地だ。平成8(1996)年には嚴島神社やその前面にある海などが世界遺産に登録され、2007年嚴島神社がミシュランの三ツ星を得ると、2001年241万人だった宮島への来島者は年間400万人へ飛躍した。

ミシュランの三ツ星を得た宮島の「弥山展望台」から眺める瀬戸内海の島々。山頂の巨石と360度のパノラマ。頂上では多くの外国人に出会う

ただ、宮島にもうひとつ、ミシュランの三ツ星を得た絶景があることを知る日本人は少ない。トリップアドバイザーの「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」にここ2年連続でランクイン、外国人から絶大な支持を得る絶景とは? 今回はその魅力をたっぷりとお届けしよう。

約6時間毎に潮の満ち干により姿を変える嚴島神社。満潮時、鳥居は海の中にあるが、干潮時は鳥居の下まで歩いていくことができる(画像提供: 広島県)

約14分の空旅

「弥山(みせん)」は嚴島神社の社殿の背後にそびえる標高535mの山だ。天然記念物の弥山原生林は宮島の世界遺産の構成資産のひとつにもなっている。弥山展望台が「ミシュラングリーンガイドジャポン」(改定第4版)において三ツ星を獲得したのは2015年6月。山頂は遮るもののない360度の視界が開け、瀬戸内海の島々や四国連山までを見渡せる。

瀬戸内海にある727の島のうち142は広島県域にあり、弥山山頂からは英語でいうアーキペラゴ(Archipelago、群島)、瀬戸内海の多島美を一望できる。実は瀬戸内海という名は明治時代、欧米人が「The Inland Sea」と名付けたことに由来する。

また、弥山は単なる景勝地ではない。弥山は獅子岩など2つのビュースポットに加え、「くぐり岩」や「舟岩」などの奇岩怪石、弥山の七不思議に数えられる1,200年以上燃え続ける奇跡の炎「消えずの火&霊火堂」や嚴島神社の奥宮「御山神社」などのスピリチュアルスポットが点在する。

宮島ロープウエーは、紅葉谷駅から榧谷駅へは8人乗りの循環式ロープウエー、そこから30人乗りの交走式ロープウエーに乗り換えて獅子岩駅へ上がっていく。所要時間約14分ほど

弥山へ上がるには「大聖院」「大元公園」「紅葉谷公園」の3つの登山コースがあり、いずれも徒歩1時間半から2時間ほどで山頂に至ることができる。また、中間地点の獅子岩展望台までは宮島ロープウエーも運行されている。今回はこのロープウエーを利用して山頂へ至るコースを紹介しよう。

なお、混雑する土日や祝日、大型連休等にはロープウエーや紅葉谷駅行き無料バス待ちの長い列ができることがある。乗車まで30分以上かかることもあり、歩いた方が早い場合もある。また、帰りのロープウエーの時間は決まっており、乗り遅れると徒歩での下山となる。ロープウエーを利用する場合は、事前に運行情報等を確認しておこう。

宮島ロープウエーを利用する場合、まず宮島に渡る前にフェリーとロープウエー乗車券がセットになったお得なチケットをゲットしよう。その場合、フェリーはJRではなく、宮島松大汽船となるので売り場・乗り場を間違えないようにしたい。

山頂展望台から見た獅子岩駅、突端には「獅子岩展望台」がある。奥に見える島は、手前が大奈佐美島、奥が江田島

ロープウエー乗り場へは嚴島神社の裏手から紅葉谷駅まで無料のバスが出ているが、徒歩でも約16分となる。宮島ロープウエーは紅葉谷駅から途中の榧谷(かやたに)駅までは8人乗りの循環式、そこで30人乗りの交走式に乗り換え、獅子岩駅まで上がっていく。所要時間は14分ほど、この空中散歩では陸の上の展望台からは見ることができない景色を楽しめる。

獅子岩展望台から8つの島を望む

標高430mの獅子岩駅には「獅子岩展望台」がある。突端には獅子岩があり、瀬戸内海をはさんで大黒神島、大奈佐美島、能美島、江田島など、8つの島々と四国、対岸の広島市の眺望が楽しめる。展望台には島の説明板とともにそれぞれの島の名前と位置が分かるよう、専用ののぞき穴も設置されており、それもまた楽しい。

獅子岩駅を出ると「獅子岩展望台」があり、ここでも瀬戸内海の多島美の絶景が楽しめる

この先、獅子岩から弥山山頂へは徒歩で約40分ほど。歩きやすい靴や服装であれば、登山初心者でも安心して登れる山ではあるが、山道にはところどころ平たんでない場所もある。雨の後や落ち葉が多い季節には滑りやすくなる。高齢や足腰の弱い人などは無理をせず、ロープウエーで行ける範囲にとどめ、ここからの景色を楽しむといいだろう。獅子岩駅の2階には展望室を備えたカフェスペースもある。

獅子岩展望台には望遠鏡のほか、展望から見える島の名前が分かるよう、専用ののぞき穴が設置されている

弥山七不思議に触れる

とは言え、弥山の一番の見所はやはり山頂展望台。健脚をお持ちの方がここを登らずして帰ってはもったいない。まずは獅子岩から徒歩約20分のところにある「弥山本堂」へ向かおう。ここには弘法大師が建て、100日間の求聞持秘法を修したとされる「求聞持堂」があり、弥山七不思議の「消えずの霊火堂」と「錫杖の梅」等を見ることができる。ここまで上がってくれば、頂上はもうすぐ。一息ついてしばし休憩する人も多い。

獅子岩駅から弥山山頂へは約1km、所要時間は約40分ほど。道には奇岩怪石も多く、歩いていて退屈しない

「消えずの霊火堂」の火は、広島市の平和記念公園の「平和の灯火」の元火にもなっており、その火で沸かした霊水は万病に効くと言われている。また境内には、その消えずの灰を混ぜて造られた「ねがい地蔵・ごめんね地蔵」もある。

手前が弥山七不思議のひとつ、消えずの火がある「霊火堂」、奥に「弥山本堂」

弥山七不思議のひとつ、霊火堂の「消えずの火」(画像提供: 広島県)

その灰を混ぜて作られた「ねがい地蔵・ごめんね地蔵」

360度の眺望を座って味わう

さてここから先、山頂へは「大日堂経由」と「三鬼堂経由」の2つのコースに分かれる。大日堂経由では奇岩「舟岩」や「疥癬(かいせん)岩」、弥山七不思議の「干満岩」を、三鬼堂経由では安産や学業にご利益がある「観音堂」や「文殊堂」、奇岩「くぐり岩」や「不動岩」を見ることができる。いずれも山頂までは約10分。それぞれ見どころも異なるので、上り下りでコースを変えるといいだろう。

奇岩「くぐり岩」はその名の通り、人がくぐれる巨石だ。ここまで来ればもう頂上はすぐそこ

山頂には2014年リニューアルオープンした宮島弥山展望休憩所がある。3階建てでトイレも備える。コンセプトは「座」で好きなところに座り絶景を楽しめる。3階は遮るもののない360度の眺望、巨石すら見下ろせてしまう絶好のスポット。2階は日差しも避けられ、瀬戸内に浮かぶ島々をのんびり眺めるのに最高だ。

山頂「宮島弥山展望休憩所」。2014年にリニューアルオープンした三階建ての施設でトイレも備える。コンセプトは「座」好きなところに座り絶景を楽しめる。ここは2階部分、日差しも避けられ、ゆっくり景色を楽しめる

この景色は頂上に登ったものだけが目にするご褒美の絶景。ぜひ、その目でミシュランの三ツ星絶景を堪能してほしい。

瀬戸内海国立公園宮島地区、弥山山頂。宮島弥山展望休憩所の三階からは巨石も見下ろせる

筆者プロフィール: 水津陽子

フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。
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