では、どういう企業がグローバルビジネスハブ東京に入居しているのだろうか。

同フロアに入居している3社を取材した。

そのうちの1社がナーブ株式会社だ。

ナーブ 代表取締役CEO 多田英起氏

この会社の強みは、ヴァーチャル・リアリティ(VR)コンテンツのプラットフォームの提供にある。VRというと、ゲームなどとの連携を考える方が多いが、ナーブはそういう方面でのVR活用を考えていない。ずばり、業種に特化せずVRの技術を使い、物理的な距離や時間を超越した“体験”を提供し、様々なビジネスとユーザーニーズを満たせないか考えている。

たとえば、物件探しをしているユーザーに、実際に物件に出向かなくてもVRで部屋の内見ができることを可能にしている。

そのほか、VRによる旅行業や教育産業への進出に対して意欲が強い。VRを使った旅行・教育には高い注目が集まっているだけに、今後の注目企業だろう。

ニュートンジャパン 代表取締役CEO 田中晃氏

ニュートンジャパン株式会社という、アメリカに本拠地を構える、今年の1月に日本での登記が済んだばかりの外資系企業も入居している。この会社は、教育系のIT企業で、アダプティブ・ラーニングプラットフォームを提供している。

「アダプティブ・ラーニングとは、理解度に合わせて学習内容を柔軟に変えるオンライン学習の仕組み。これまでの全員が同じ内容・量・ペースで学ぶことを前提とした学習とは異なり、個別に最適な学習コンテンツをリアルタイムでリコメンドしてくれる学習だ。 ニュートンジャパンでは、株式会社Z会など、教育サービスを提供する企業とパートナーを組んでビジネスを広げている。パートナー企業の教材にシステムを組み込む形で、サービスを提供しており、世界で30社以上、約1000万人を超えるユーザーに活用されているという。

イーダブリュエムジャパン 代表取締役社長 友納健一郎氏

株式会社イーダブリュエムジャパンというベンチャーは、地域の人的資産、物的資産を活用している会社だ。現在の拠点は佐賀と福島県南会津。東京に7名、佐賀に47人、南会津に8人の人員を配置し、ウェブ制作や“ものづくり”を生業としている。

地方で作成したウェブやモノを大都市圏に出荷するのだが、制作者たちは素晴らしい自然環境のなかで仕事できるというメリットを享受できる。

ちなみに南会津では、都立大学の保養所を入手。ここをウェブ制作などの拠点にしているほか、他企業の合宿に提供するといったビジネスも展開している。

このように、グローバルビジネスハブ東京に入居する3社にお話しをうかがったのだが、皆、そろっていうのが、このオフィスの立地のよさ。東京・大手町には、東西線、千代田線、半蔵門線といった地下鉄駅が集約しているところ。JR東京駅も歩いて数分のところにある。

加えて、銀行や大企業が集まっており、そうした企業との取引を行うときに立地的な条件がすこぶるよい。「ベンチャーが入居するのに、これほどの環境はそうそうありません」と、取材させていただいたベンチャーの方々は口を揃えて語る。

だが、こんな声も聞こえてきた。「東京のど真ん中だけに、ランチが高い(笑)」と……。