最近のデジタル一眼カメラは記録メディアにSDメモリーカード (以下、SDカード) を採用した製品がほとんどです。SDカードは時代に合わせて新たな規格が現れ、最近では4K動画撮影のために必要な転送速度を定義したものもあります。今回はSDカードを選ぶときに必要な知識を解説します。

カードが小さく、カメラをコンパクトに設計しやすいというメリットも含めて、最近のデジタル一眼カメラではSDカードが主流となっています。写真はPENTAX K-70

従来はCF (コンパクトフラッシュ) に対応したカメラも多かったのですが、最近はハイエンドモデルの一部にしか採用されていません。写真はSDとCFの両スロットを持つEOS 5D Mark IV

SDカードには大きく分けて、「記録容量」の規格と「転送速度」の規格があります。それぞれ別物なので、分けて覚えておきましょう。

まず、記録容量については「SD」「SDHC」「SDXC」の3種類の規格があります。SDは最大2GBまで、SDHCは2~32GB、SDXCは32GB~2TBの容量と決められています。SDHCとSDXCは下位規格との互換性を保っているので、SDXCカードに対応したデジタルカメラであれば、SDカードもSDHCカードも使えます。

左からSDカード、SDHCカード、SDXCカード。カメラの性能向上とともに上位規格が策定されていきました

次に、転送速度の違いについて説明します。メモリーカードの転送速度が遅いと、連写中にスピードが極端に落ちたり (バーストする)、ムービー撮影ではコマ落ちする、といったことが起きます。

スピードクラスの種類と撮影可能な動画解像度の関係。SDアソシエーションの公式動画より

SDカードの転送速度に関して、最初に規格化されたのが、最低書き込み速度を保証した「スピードクラス」です。最低書き込み速度が10MB/秒なら「CLASS 10」、4MB/秒なら「CLASS 4」と製品に表記されます。

次に登場したのが「UHS」です。UHSは「Ultra High Speed」の略で、SDHC/SDXCカードやSDHC/SDXCスロットのデータ転送速度を定義しています。現在、UHS-IとUHS-IIが実用化されていて、UHS-Iが最大104MB/秒、UHS-IIが最大312MB/秒のデータ転送速度であることを示します。

一方、「UHSスピードクラス」という規格もあり、こちらは最低書き込み速度を定義しています。カードに「U1」と記されていれば、最低書き込み速度が10MB/秒のUHSスピードクラス1、「U3」と記されていれば、最低書き込み速度がUHSスピードクラス3をサポートしています。4K動画の撮影にはUHSスピードクラス3 (U3) に対応した製品を使用すると安心です。

そして2016年2月に、4K/8K映像時代に向けた「ビデオスピードクラス」が発表されました。最低保証速度を6/10/30/60/90MB/秒の5段階で定義し、90MB/秒の製品なら「V90」と表記されます。まだこれからの規格なので、現時点で対応している製品は発売されていません。

CLASS 10表記の左側のバケツに数字が入っているようなアイコンがUHSスピードクラスの表記。これは、UHS-IIとU3に対応したサンディスクの最新製品

ちなみに、「~x」や「~倍速」と表記されているカードを見かけますが、これはCDの転送速度である150KB/秒を基準に倍速表記した数字です。たとえば、600xと記されていれば、150KB/秒×600=90MB/秒の転送速度を持つことになります。ただし、これは最大速度を表しているので、あくまでも参考として見ておきましょう。

「600x」と表記されたトランセンドの製品。最大で90MB/秒の転送速度を持ちます

今こそ知りたいデジタル一眼の基本 バックナンバー 一覧へのリンク