トヨタ自動車とダイハツ工業が11月9日、小型トールワゴンを発表した。富士重工業(スバル)を含めれば4車種になるこの新型車、スズキの「ソリオ」に近い部分がいくつかある。スズキは先月、トヨタとの提携へ向けた協議を始めると表明したばかり。もし提携が実現したら3社の関係性はどうなるのだろうか。

発表会に登壇したダイハツ取締役社長の三井正則氏(画像右側)とトヨタ常務役員で国内販売事業本部長の佐藤康彦氏

ダイハツとスズキ、トヨタとの関係が気になる両社

10月12日に発表された、トヨタとスズキの提携に関する合同記者発表。以前から噂がないわけではなかったし、実際にはまだ「両社の協力関係の構築に向けた検討を開始する」段階ではあるが、トヨタの豊田章男社長とスズキの鈴木修会長が揃って共同記者会見に臨んだ姿は、それだけでビックニュースに値した。

多くの関係者はこのニュースを聞いて、スズキとダイハツの関係を思い出したはずだ。スズキとダイハツは軽自動車の分野でライバル関係にある。一方でダイハツは1960年代からトヨタと提携を結んでおり、今年8月に完全子会社になった。その中でトヨタはさらに、スズキとも手を組むかもしれない。両社のすみ分けはどうなるのか、気になった人は多いはずだ。

そんなさなかの11月9日、トヨタとダイハツが新型車の発表会を行った。コンパクトカーの「パッソ/ブーン」に続き、ダイハツが開発生産を行い、トヨタおよびスバルにOEM供給を行うトールワゴンで、車名はトヨタが「ルーミー」と「タンク」、ダイハツが「トール」と命名。スバルは実に21年ぶりの復活となる「ジャスティ」の名を与えた。

トヨタはタンク(左の画像、左側)とルーミー(同右側)という車名で販売。PRイベントに駆けつけた菜々緒さんは、Livingの“L”とDrivingの“D”を掛け合わせた「1LD-CAR(ワン・エル・ディー・カー)」というコンセプトをアピールした

トヨタが2車種あるのは、大型ミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」と同じように、販売店別にデザインを分けたためだ。トヨタ店とカローラ店がルーミー、トヨペット店とネッツ店がタンクとなる。従来の国産車で、3兄弟はトヨタの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」があるが、4兄弟となるのは珍しい。

4車種の車名を何度も並べて記していくと、記事が読みにくくなる恐れもある。そこで以降は、ルーミー/タンク/トール/ジャスティを「トールワゴン4兄弟」と記すことにする。