2016年9月25日に最終回を迎えた特撮テレビドラマ『仮面ライダーゴースト』の「ファイナルステージ&番組キャストトークショー」が、10月15・16日の2日間、中野サンプラザにて開催された。大阪(10月2日)、福岡(10月8日)に続くこの東京公演は、テレビシリーズ開始(2015年10月4日)から1年間、突っ走ってきた主演の天空寺タケル役・西銘駿ほか、メインキャストにとっても一つの区切りとなるビッグイベントだけに、会場には子どもから大人まで幅広い年齢層の『ゴースト』ファンが詰めかけ、特製ペンライトをはじめとする記念グッズを手にして、熱い応援を繰り広げた。

「ファイナルステージ&番組キャストトークショー」東京公演は、15・16日ともに3回ずつ、つごう6回行われたが、今回は初日15日の3回目を取材。この回のみのスペシャルゲストとして登場したのは、宮本武蔵、エジソン、ベートーベンなど、劇中に登場する数々の「英雄」たちの声を一手に引き受けた人気声優の関智一と、タケルの亡き父・天空寺龍を演じた西村和彦。トークショーではこの2人を中心に、レギュラーの西銘駿、大沢ひかる、山本涼介、柳喬之、磯村勇斗、溝口琢矢、勧修寺玲旺が参加し、撮影時の貴重な裏話や、苦労話などで大いに盛り上がった。

大天空寺の先代住職にして、タケルの父・天空寺龍を演じた西村和彦は、かつて1988年にスーパー戦隊シリーズ第12作『超獣戦隊ライブマン』のイエローライオン/大原丈役で出演した経歴を持っている。仮面ライダーシリーズへの出演について西村は「実は、今からおよそ30年前、『仮面ライダーBLACK』のオーディションを受けて、落選しているんです。それがきっかけとなって戦隊ヒーローになったわけなんですが、今回のオファーをいただいたときは、30年前のリベンジなんだな、よし! 仮面ライダーやるぜ!と思っていました。でもよく聞いたら、仮面ライダーのお父さんの役でした。当然ですよね(笑)」と告白して会場を笑わせた。新人俳優であるタケル役・西銘との共演については「自分の芝居のことだけを考えるのではなく、西銘くんを支えないとな……と思いました」と、先輩俳優ならではの"親心"を見せていた。

また西村は『ゴースト』を1話もかかさずオンエアで視聴していると話し、特に第33話の「ゴースト、スペクター、ネクロムが大爆発を背にして岩山から飛び降りるシーン」を挙げて「爆発のタイミングと美しさ、演じる人たちのスピリッツがこの一瞬に出ている」と、いたく感心したことを明かした。

同じ第33話でタケルに仲間たちが一人ずつ呼びかけることでゴーストムゲン魂が誕生するシーンに感動したと語る西村に対し、アカリ役の大沢ひかるは「あのシーンはみんなが一丸となってタケルを助けたいと、思いを込めて叫びました。演じているときは一生懸命で、オンエアされるまでどう映っているかわからなかったので、感動したと言っていただいてうれしい」と、感謝の気持ちを表した。

仮面ライダーネクロム/アランを演じた磯村勇斗も第33話に触れ、「アランが大天空寺チームと一緒にいる初めてのシーン。自分もやっと彼らの仲間になれたなという実感とともに、みんなそれぞれ感動しながら演じていました。撮影中に涙が出そうになりましたね」と、心を込めた演技を振り返った。

大天空寺の住職代理として奮闘した御成役・柳喬之は、西村を前にして「拙僧は天空寺龍さんを尊敬していて、大天空寺に入ったという設定なので、勝手にお慕いしていましたが、直接お会いすることがなかったんです」と、意外なまでの「接点のなさ」を再確認。龍への強い尊敬の念を表したことで、西村から笑顔を向けられご満悦の様子だった。しかし西村からは「撮影所ですれ違ったときは、上から目線だったよ」と言われてしまい、「それは身長(が高いから)です!」と大慌てでフォローしていた。

大天空寺で修行に励む若き僧・シブヤを演じた溝口琢矢は「龍さんは、御成さんの上を行く人物ですから、シブヤ的には"神"という感じ。お会いしたこともないし、直接見たこともない方ですから余計に!」と、御成をはるかに上回る力強さ、頼もしさを西村から感じたことを告げていた。

仮面ライダーゴースト/天空寺タケル役の西銘駿は、父親役の西村から「西銘くんは新人ですし、特撮番組の後輩でもありますから思い入れが強い。冬の映画(MOVIE大戦ジェネシス)では演技について説明するとかじゃなく、自分がアクションをする姿を見てもらって、精神を学び取ってほしいと思って頑張ったのですが、そのとき彼はチビタケル(少年時代のタケル)と一緒に遊んでいた(笑)」と言われ、「ちゃんと(西村のアクションを)見ていましたよ!」と、先輩を改めて大リスペクト。「龍さんカッコよすぎませんか、みなさん! タケルではなく西銘駿として、本当のお父さんになってほしいと思いました」と絶賛した。これには西村も「オンエアが終わってから言うなよ~」と大いに照れていた。

仮面ライダースペクター/深海マコトを演じた山本涼介は、西村から「うちの7歳の娘がスペクターの大ファンなんだよ。スペクターなのか、山本くんのファンなのか」と言われたのを受けて、「僕のファンでしょうね!」とニッコリ。また、「彼は自分のことをカッコいいと思って演じてるんじゃないか」と西村に問われ、返答に困ってしまって周囲の笑いを誘った。

15個の眼魂に秘められた英雄たちの声を務めた関智一は、意外にも仮面ライダーのテレビシリーズで声の出演を果たしたのは今回の『ゴースト』が初めてだったという。「劇場版ではショッカー首領の声など、いろいろやらせていただいていましたけれど、テレビでは初めてでした。それでお話を聞くと、英雄の声を15役やってほしいと……今までやってなかった分、大量に役が回ってきました(笑)」と、一人で15人もの英雄の声を演じ分ける大変さを苦笑まじりに語った。シブヤと同じく大天空寺で修行している若僧・ナリタ役の勧修寺玲旺も「15人もの声をお一人で演じられていることに驚きです」と、改めて関の仕事ぶりを称賛した。

声を演じた数々の英雄のうち、好きな人物は?と尋ねられた関は、「演じやすかったのは卑弥呼とエジソン」と回答。理由は、キャラクターが際立っていたからだという。関は、15人の英雄を演じるにあたり「最初は声の種類を15パターンほど考えていたんですが、『仮面ライダーのキャラクターだから基本カッコいいやつで』と言われたため、コミカルなキャラが使えなくなり困った(笑)。そんな中でエジソンは、ルー大柴さんみたいに英語まじりでやっていいということになり、救われました」と、演じ分けについての苦労をしみじみ語っていた。

トークショーの最後に、西村は「特撮作品でデビューし、30年後『ゴースト』に出演することができて、役者を続けていてよかったなと思いました。『ゴースト』の若い俳優たちはこれからも頑張っていくと思います。みなさん、彼らを20年、30年と長く応援してください!」と、30年前の自分と同じく特撮作品から羽ばたいていく若き俳優たちに熱きエールを送った。

西村からの激励を受けた西銘は「お父さん役の西村さん、英雄の声を演じられた関さんをお迎えして、最高に幸せな一日でした」と振り返りながら「今日、親子でお越しくださった方たちが、将来も『仮面ライダーゴースト』の話で盛り上がってくれたらうれしいです」と話し、会場のファンたちに『ゴースト』の記憶をずっと持ち続けてほしいと願っていた。

『仮面ライダーゴースト ファイナルステージ&番組キャストトークショー』の模様は、2017年2月8日に東映ビデオからDVDとして発売される。本編ディスクには10月16日の「千秋楽スペシャルバージョン」を収録し、さらにボーナスディスクには今回ご紹介した15日3回目公演を含む、番組キャストトークショーを編集して収録している。

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