日本航空は10月25日、同社グループにおける女性活躍推進の課題とその解決施策を研究する「JALなでしこラボ」の2期生キックオフイベントを開催した。

「JALなでしこラボ」2期生のメンバー

2015年9月に設立された「JALなでしこラボ」。これまで、1期生のメンバーによって研究活動が進められ、2016年7月に研究成果を発表した。1期生による1年間の活動をもとに、今回引き継いだ2期生のメンバーによって、効果が見込める施策の実現と、研究成果のさらなる深掘りを進めていくという。

2期生からの「JALなでしこラボ」の研究活動として、掲げている方程式は、"実績"="実践"×"理論"。"実績"は、女性活躍推進や数値目標・行動計画の取りまとめ、"実践"は意織改革とワークスタイル変革、"理論"は「なでしこラボプロジェクト」を指す。

取締役専務執行役員コーポレートブランド推進部担当の大川順子さん

「JALなでしこラボ」の担当役員である取締役専務執行役員コーポレートブランド推進部担当大川順子さんは「今年の活動では、"理論"と"実践"を掛け合わせ、"実績"に結び付けることを目指しています。理論だけを固めても実践にはつながりません。研究をした結果、課題などを発見して、どのように克服して実践につなげていけるのかを一緒に考えていくことが必要です」と語った。

仕事・職場の仕組み、男女双方の考え方を変える取り組み研究活動との連携により、多様な人財が活躍できる会社を目指していくという。その結果として、女性が活躍できる会社とするのを目標としている。

1期から変わったところは?

1期生では、チームごとに各テーマによって研究を進め、具体施策を提言する「研究チーム」のみで活動してきた。2期からは、新たに「future design チーム」が追加された。このチームでは、1期生のメンバーから提言された施策を、終わりにせずに具現化することをミッションに活動していくという。

1期生の「研究チーム」3チームで18名(各チーム6名)から増員し、2期生では「研究チーム」3チームに「future design チーム」が加わった合計4チームで、28名(各チーム7名)の参加となった。さらに、各チームに1名のメンターがサポートして活動していく。

2期の研究テーマは?

2期のテーマは、「BIAS(バイアス)」と「VISION(ビジョン)」と発表された。

「第1期は『意識』『ポジション』『継続性』をテーマにした研究でした。この研究の成果において、各チームから共通して『社員の意識』『コミュニケーション』のキーワードが抽出されました。第2期では、このキーワードを更に深掘りするため、『BIAS』と『VISION』に決めました。

研究プロジェト責任者の野村直史さん

『BIAS』の意味は、考え方の偏りや先入観。まずJALグループにおいて、どのような『BIAS』が実際に存在し、ダイバーシティ推進にどのような関わりを持ってくるのかを明確にしてもらいます。それを理解した上で『VISION』を掲げて、どのような明日のJALグループをつくっていくのかを、3チームで各テーマに沿って研究を進めていきたいです」(研究プロジェト責任者の野村直史さん)。

このほか、従来から平行して実施してきた、女性活躍推進の教育研修にも取り組むという。 「第2期では『JALなでしこラボ』の活動全体の中にその趣旨を随所に落とし込み、活動の中でも人材育成をこれまで以上に推進していきたい」(野村さん)。

1期生から2期生へ

イベント後、これまで活動してきた1期生代表のJALグランドサービス成田支店総務部川上佳子さんに、今回引き継いだ心境を聞くと「1期の最終発表会での施策を更に広めてもらうためにも、2期の『future design チーム』で具体的に取り組んでいってほしいです」と語った。

JALグランドサービス成田支店総務部の川上佳子さん(左)、日本航空コーポレートブランド推進部の池口薫さん

また、2期生代表日本航空コーポレートブランド推進部池口薫さんは次のように意気込みを語った。「私自身が子供を産む前と後で、働き方や考え方、視点が変化し、個人でもそういった多様性があるのだと実感したんです。JALグループは3万2,000名の社員が集まっているので、それだけの多様性があると思います。

今回のプロジェクトに集まるメンバーも、JALグループであるものの所属会社が違ったり、年齢や立場、環境も異なります。そういった多様なメンバーで、1つのビジョンに向かって様々な意見を出し合うことで、新しい価値が生まれてくると思います。それを活かして企業の価値を高めるために、取り組んでいきたいです」。