キヤノン「EOS 5D Mark IV」は、フルサイズの3040万画素センサーを備えた一眼レフカメラだ。2012年に発売された「EOS 5D Mark III」の後継機であり、CMOSセンサーやエンジン、AF、ライブビュー、動画撮影機能などあらゆる部分が進化。今年9月の発売以来、プロやハイアマチュアから高い支持を得ている。
機能や操作性については、前回のレビューで紹介したとおりだ。今回はEOS 5D Mark IVの製品版を使用して、その実写性能を見ていこう。
旅行用にも役立つ「EF24-105mm F4L IS II USM」
まずは、EOS 5D Mark IVのキットレンズでもある新標準ズーム「EF24-105mm F4L IS II USM」を用意して、紅葉が見ごろを迎えた長野県を訪れた。このレンズは2005年に発売された「EF24-105mm F4L IS USM」の後継モデル。多用途に使いやすいズーム域を受け継ぎながら、描写力をブラッシュアップ。旅行用にも最適な1本といえそうだ。
最初の写真は、ズームの広角側24mmで撮影したもの。真っ赤な葉がいっそう鮮やかに輝くように、逆光気味のカメラアングルを選択。開放値ながら四隅までクリアでくっきりとした写りが得られた。
以下、掲載した作例はクリックで拡大表示。さらに拡大写真の右下「原寸大画像を見る」をクリックすると、元データを表示可能。 |
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次はズームの望遠側105mmを使用。とくに紅葉した部分を画面いっぱいにフレーミングし、赤と緑のコントラストを際立たせた。
次の2枚は、葉の一部をクローズアップで撮影。どちらも、ピントを合わせた部分は葉脈まで細かく解像する一方、背景にはソフトなボケが生まれ、奥行きを感じる写真となった。発色の調整機能であるピクチャースタイルについては、キヤノンのWebサイトからダウンロードできる「紅葉」を使用。これによって赤や黄色の色彩感をさらに強調できた。
続いて場所を移動し、森の中に群生している苔を狙ってみた。EF24-105mm F4L IS II USMの最短撮影距離は45cmで、最大撮影倍率は0.24倍。フルサイズ用の標準ズームとしては平均的な撮影倍率だ。マクロというほどではないが、ちょっとした寄りの撮影も楽しめる。
EOS 5D Mark IVで実際に撮影してみて、個人的にとりわけ気に入った点は、ライブビューが快適になったこと。タッチパネルによって好きなAFポイントを素早く選択でき、新搭載した「デュアルピクセルCMOS AF」によってスムーズにピントが合う。とくにカメラを三脚にセットして風景を撮る際は、このライブビューが重宝する。
加えて、描写面での満足度も高い。前モデルEOS 5D Mark IIIの有効2,230万画素から約1.4倍高画素化したことで、細部の表現力が大きく進化。被写体の質感までをリアルに再現できる。
高感度については、標準で最高ISO25600、拡張で最高ISO102400に対応する。前モデルよりも高画素化しつつも、高感度性能は向上。高感度ノイズやノイズ低減による解像の低下はバランスよく抑えられ、ISO3200や6400あたりでも十分に実用的な画質といえる。