【レポート】

JR東日本、鷲宮保守基地のイベント10/1開催 - 新幹線保守基地のお仕事とは?

1 2度のスイッチバック、珍しい構造の鷲宮車両基地

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1年ほど前、JR宇都宮線(東北本線)東鷲宮駅近くにある鷲宮保守基地の特別公開に合わせ、東北新幹線で使われている保守用車を紹介する記事を書いた。このときは保守用車そのものが主役だった。今年も10月1日に、同基地で新幹線工事用車両が特別公開される。そこで今回は趣向を変えて、「保守基地のお仕事」についてまとめてみた。

「保守基地」とはどんなところ?

新幹線に限ったことではないが、どんな鉄道にも車両基地がある。これは営業運転に使用する車両を留置・点検・整備するための施設である。

それに対して保守基地とは、軌道、電車線、電力・信号・通信などといった、地上側の施設の点検整備を担当する拠点だ。ここでいう電車線とは、物理的に存在する、いわゆる架線のこと。その中でもパンタグラフが接する線をトロリー線という。そこに電力を供給する変電所などの設備が「電力」の領分となる。

新幹線の場合、おおむね主要駅ごとに保守基地を設けてあり、それぞれの基地ごとに担当する区間が決まっている。保守基地は駅の近隣に設けている場合もあれば、駅間に設けている場合もある。車両基地の一角に保守基地も併設している場合も多い。

鷲宮保守基地は東北新幹線の担当だ。そこで東北・北海道新幹線について、どれだけ保守基地があるかを見てみよう。

  • 田端(東京新幹線車両センター) ☆
  • 鷲宮(東鷲宮駅付近) ☆
  • 宇都宮(雀宮駅付近)
  • 那須塩原(小山新幹線車両センター那須電留線)
  • 郡山 ☆
  • 福島(東福島駅付近)
  • 白石蔵王
  • 仙台(新幹線総合車両センター) ☆
  • 古川
  • 一ノ関
  • 北上 ☆
  • 盛岡(盛岡新幹線車両センター)
  • 二戸 ☆
  • 七戸十和田
  • 新青森(盛岡車両センター青森派出)
  • 奥津軽いまべつ
  • 木古内
  • 新函館北斗(函館新幹線総合車両所)

とくになにも付記していない保守基地は、駅の近隣から線路を分岐させた先にある。最寄りの新幹線駅から離れている場合や車両基地に併設している場合については、それをカッコ内に記した。このほか、保守用車を留置できるようにするための側線、いわゆる横取線を設けている場所もある。これは単なる留置場所だから、保守基地には含めていない。

なお、JR東日本の新幹線はバラスト軌道が占める比率が低いので、バラスト関連の設備や保守用車の陣容は小規模なものだ。これが東海道・山陽新幹線になるとバラスト軌道の比率が高いので、それだけ充実したものになっている。

なお、降雪地帯の保守基地では除雪も仕事のうちである。だから保守基地には除雪車も配置してある。ただし、除雪専用にすると1年の4分の3ぐらいは遊んでしまうことになるので、夏場は除雪用のラッセルヘッドやロータリー装置を外して、普通の牽引用モーターカーとして使えるようにしている。例外は東海道新幹線で米原保線所に配備しているロータリーブラシ車ぐらいだろうか。

保守基地と在来線の関係は?

先のリストのうち、「☆」を付けた保守基地は、隣接する在来線から線路が引き込まれているものだ。この線路はレールなどの資材を貨車に載せて搬入する際に使用する。枕木やトロリー線(木製のドラムに巻いてある)ならトラックでも搬入できそうだが、レールは25~150mもある長尺モノだから、鉄道を使わなければ搬入できない。

鷲宮保守基地のうち、南西側の東北本線に接した一角。右手の線路が3線軌になっているところに注目してほしい。在来線から引き込まれてきた線路を、新幹線の保守用車も共用できるようにするためだ。奥の門型クレーンは資材積み下ろし用。右端の高架線は東北本線の上り線(東鷲宮駅付近は上り線だけ高架になっている)

在来線から線路を引き込むためには、保守基地が在来線と隣接していることが望ましい。新幹線の駅は在来線の駅と併設になっていることが多いから、駅ないしはその前後に保守基地を設けるのであれば問題ない。ところが、鷲宮保守基地の場合には事情が異なる。このエリアで東北新幹線が在来線と接しているのは久喜駅付近だが、そこでは保守基地の用地を確保できなかったようで、いくらか北方の鷲宮付近になった。しかし、そうなると新幹線と在来線が離れてしまう。

そこで、新幹線の本線から分岐した引込線を東鷲宮駅の脇まで引っ張ってきて、そこに保守基地を設けた。こんな形で設けてある保守基地は珍しい。在来線の電車から見ていると、新幹線のほうから高架・非電化の引込線が伸びてくる様子がよくわかる。

鷲宮保守基地の東端(道路に面した側)にある高架橋が、東北新幹線の本線に通じている。そこから大宮方に向けて地上に降りる線路が延びており、いったん引上線に突っ込んで折り返すと保守基地に入れる。つまり、本線との行き来に際しては2度のスイッチバックが必要になるわけだ。

在来線側も、出入りに際しては行ったり来たりが必要になる配線だが、とにかく線路がつながっていて出入りができることが重要なのである。

網掛けが鷲宮保守基地のエリア。在来線と新幹線の両方に線路がつながっており、前者は資材搬入、後者は保守用車の出入りに使用する。細線が付いているのは高架、赤線は標準軌、黒線は狭軌、青の二重線は3線軌

違う意味で面白いのが山陽新幹線の新山口保守基地。ここは新幹線の駅と在来線の駅に挟まれるようにして保守基地がある。つまり駅と並んでいるのだが、新幹線の本線は高架、保守基地は地平だ。では、保守基地への出入りはどうするか。じつは新幹線下りホームの博多方に保守基地への分岐を設けてあり、そこから高架の南側を地平レベルまで下りて、いったん徳山方に向かう。そこにバラスト搭載施設と確認車(後述)の留置線があり、そこから折り返す形で新幹線駅の北側地平にある保守基地に通じている。

新幹線側の駅前広場に面したところは囲ってあるので、引込線の存在はわからない。そこから右手(徳山方)に向かうと、高架に沿って地平に降りてくる線路の存在がわかる。

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インデックス

目次
(1) 2度のスイッチバック、珍しい構造の鷲宮車両基地
(2) 新幹線の保守作業「データを取って数字で管理」など重要に

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