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気温30度を超える日が増えてきました。我が家の猫たちも最大限に伸びて熱を逃がしています。寝っ転がっている猫のふにゃふにゃ具合を見ると夏が来たと感じます。夏バテにならないよう猫にもしっかり水分をとってもらいたいです。

しかし猫はもともと水分摂取量が少ない動物です。人間のように意識的に水分をとることもできません。脱水状態が続くと、熱中症だけでなく尿路結石や特発性膀胱炎のリスクも増えます。今回は、猫に積極的に水分を飲んでもらうための工夫を紹介します。

水飲み場の増設

夏限定でも良いので、水飲み場を増やしましょう。怖いのは留守番中に猫が器をひっくり返してしまうことです。水の量は、「多すぎかも?」と思うぐらいがちょうど良いです。3~4カ所に設置しましょう。私は大きめの鍋にたっぷり水を入れています。

また、水飲み場の場所も大切です。フード皿と並べて、水の容器が置いてあることが多いですが、実は猫にとってあまり嬉しくありません。フードが飛んで入ったりすると、水が痛みやすいです。

各々の猫は1日の75%を過ごすコアエリアを持っています。各猫のコアエリアに、必ず1つはお水を設置しましょう。多頭飼育では、支配的な猫が水飲み場への道を塞いでいると、それが精神的な障害となり水を飲みたくても我慢してしまうことがありますので、よく見ておく必要があります。

容器をチェック

ヒゲが容器に当たると嫌がるので、フラットなデザインの容器が望ましいとされています。また、材質によっても猫の好き嫌いがあるようです。プラスチック製やステンレス製よりも、陶器やガラス製の方がにおいがなく美味しく感じるようです。猫によって好みがありますので、いろいろな素材の容器を用意しましょう。

ウォーターファウンテン

猫は本能的に、動いている水のほうが新鮮なことを知っているのかもしれません。もしあなたの愛猫が蛇口や流れている水を好んで飲むのであれば、ウォーターファウンテンを設置してあげると良いでしょう。これは小さな噴水のようなもので、様々なタイプが販売されています。私のオススメは循環タイプよりも、蛇口に近い水が落下するタイプです(Drinkwell社の「ペット用ウォーターサーバー」など)。

食事の回数を増やす

ある研究では同じ量の食事でも、小分けにして回数を増やすことで飲水が増えたと報告しています。特にドライフードを食べると渇きを感じ、水を飲みに行くからだと推察されます。

ウェットフードを与える

フード中に含まれる水分の量も大切です。ドライフードよりもウェットフードの方が水分を多く含んでいます。ウェットフードを与えると、水を飲みに行く行動は減りますが、「飲水量」+「フード中の水分量」では、ウェットフードを与えた時の方が合計量が多くなることがわかっています。比較的簡単に安定して飲水量を増やすことができるためオススメです。

猫が好む匂い付きのゲル

猫が好む匂い付きのゲルというものがあります。飲水欲が刺激される香りと味が加えられた水分補完食です。高齢猫や闘病中の猫などの脱水予防にも有効です。水の減りが悪いな、という時に持っておくと安心です。

まとめ

容器の材質や、置き場所、また食事の回数など、猫に水を飲ませるためには様々なアプローチがあります。一つ一つの効果は小さくても、組み合わせることで水分摂取量を増やせますのでサポートしてあげましょう。

また、基本的なことですが、お水は定期的に(1日2~3回)交換し新鮮に保ちましょう。猫は体調が悪くなるとお水を飲む元気もなくなり、脱水を深刻化させてしまいます。「あんまり飲んでないな」と思ったら様子見をせず、すぐに主治医に相談しましょう。

■著者プロフィール
山本宗伸
獣医師。猫の病院 Syu Syu CAT Clinic で副院長を務めた後、マンハッタン猫専門病院で研修を積み今年帰国。8月1日の猫専門動物病院 Tokyo Cat Specialists開院に向けて準備中。ブログ nekopeidaも毎月更新中。