東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて16日、公開初日を迎えた特撮映画『大怪獣モノ』の舞台あいさつが行われ、河崎実監督や主演を務めたプロレスラーの飯伏幸太選手をはじめとする主要キャストが登壇した。

左から、大怪獣モノ(谷口洋行)、赤井沙希、飯伏幸太選手、河西美希、河崎実監督

『いかレスラー』(2004年)、『ヅラ刑事』(2006年)、『日本以外全部沈没』(2006年)など、突飛すぎる発想のもとに次々とユニーク極まりない娯楽映画を生み出し、今や世界にもその名が知れ渡っている「バカ映画の巨匠」「日本一の若大将監督」こと河崎実監督が放つ最新作は、巨大怪獣が東京を破壊してまわる"大怪獣もの"だった。

地底を自在に進み、電磁波攻撃であらゆる科学兵器を無力化する「モノ」になすすべもない自衛隊は、かつて世間からペテン師よばわりされて心に深い傷を負った西郷博士(真夏竜)に救いを求める。西郷博士が開発していた万能細胞「セタップX」を注入された助手の草食系男子・新田陽出人(新田A/斉藤秀翼)は、なんと身長40mの大巨人(新田B/飯伏幸太)に変身し、見違えるほどの筋肉と優れた身体能力によって「モノ」の撃退に成功する。一躍、日本中のヒーローとして脚光を浴びる新田Bだが、あまりのもてはやされぶりにたちまち慢心してしまう。そこに再びモノが現れて……!!

人気レスラーの飯伏選手が初の映画出演、しかも主演を務めることで、劇場には大勢のプロレスファンの女性たちがつめかけた。さらに河崎作品の根強いファンや、コアな怪獣映画ファンも大勢駆け付け、大興奮と爆笑のうちに上映が終了。直後に舞台あいさつが行われた。

当日、アメリカ遠征から帰国したばかりだという飯伏選手は、舞台あいさつ開始時間から10数分遅れての到着になった。いきなりマイクを渡されて、考えがまとまらないままあいさつを始めた飯伏選手は開口一番「映画をご覧になったみなさんの感想が聞きたい」と話し、満席の会場からの大拍手をもらって満足げな表情を見せた。続いて、印象に残ったシーンを尋ねられると「赤井(沙希)さんとのラブシーンですね。普段は同じプロレスラーとして接しているのに、あんな状況で近づくことなんてありませんから(笑)」と、照れた様子を見せて客席を沸かせた。

西郷博士の娘で、新田が想いを寄せる美和役を演じた河西美希は「映画初出演ということで最初は緊張しましたが、和気あいあいとした現場な上に、監督が優しく指導してくださいました。そして、飯伏選手が私以上に緊張していたので、かえってやりやすかったです」と、映画初出演の緊張をときほぐす撮影現場の環境を絶賛。そして「セタップ細胞はありま~す」という、映画序盤での印象的なセリフについて「最初はもっと真剣に感情を込めてセリフを言ったんですが、監督から『もうちょっと棒読みな感じで』と指示してもらったんです(笑)」と、河崎監督によるこだわりの演出を明かしていた。

新田Bを誘惑する謎の女スパイ・リサを演じた赤井沙希は「飯伏選手を誘惑するシーンでは私自身も恥ずかしかったので、試合に行くときみたいに気合を入れて、緊張感を吹き飛ばしました」と笑顔で話した。撮影現場の様子を聞かれると「監督が飯伏選手にずっと『君は童貞だ、童貞なんだよ!』と演技指導をしていたのが印象的でした」と話し、会場を爆笑させていた。さらには「観るたびに、こんなネタが入っていたんだって新たな発見がある映画ですので、二度、三度と観てくださいね」と、特撮映画やプロレスのマニアックなネタが詰め込まれた本作の魅力をアピールした。

「モノ」のスーツアクションを担当し、飯伏選手のプロレス技をダイレクトに受けたのは、NHK・Eテレ『ストレッチマンV』でストレッチマングリーンを演じたほか、舞台などでも活躍する俳優・谷口洋行。今回の舞台あいさつでも谷口が「モノ」を演じており、巧みな演技力で観客にアピール。女性ファンから「かわいい!」の声が上がっていた。

これら魅力的なキャストを束ねた河崎監督は「この映画は怪獣の破壊を通じて何かのメッセージを伝えるとか、人類に警鐘を鳴らすとか、そんな深いテーマはありません。完全なエンターテインメントです!」と、気持ちいいくらいに突き抜けた娯楽作品を作り上げた自信をのぞかせた。

そして河崎監督は「飯伏選手は戦いのプロだから戦闘シーンは安心して任せていましたが、それ以外の普通の芝居のところも観てほしい。未経験がなせるフレッシュな演技のところですね。童貞のような演技というか(笑)。イキナリ歌を歌いだすところとか、よかったでしょう!」と、主演・飯伏選手のナチュラルすぎるフレッシュな芝居を絶賛。最後に「ただふざけているだけの映画だと思われるかもしれませんが、スタッフ、キャストが本気で僕の思いに賛同して、つきあってくれるから出来る作品です。本当にありがたいです!」と、自身のモットーでもある「真剣にバカをやる」映画に参加した、すべての人たちに感謝の言葉を残した。

なお、渋谷モディの 6階「HMV&BOOKS」では、『大怪獣モノ』の公開を記念して『河崎実展』を7月24日まで開催中。会場では『大怪獣モノ』の撮影に使われた「モノ」のスーツや卵、古代植物ジュガンダ、セタップX注射器、新田Bのパンツといった小道具類を展示しているほか、漫画家・加藤礼次朗による『侵略!ガルパンダZ』デザイン画や『地球防衛少女イコちゃん』『ヅラ刑事』などのポスターギャラリーといった、歴代河崎作品にまつわる展示物を多数そろえている。そしてTシャツやマフラータオル、フェルトバッグ、タンブラー、ポストカード、メイキングDVDといった『大怪獣モノ』グッズの販売も行っているので、河崎監督のファンはぜひとも駆けつけてほしいところだ。

映画『大怪獣モノ』は現在全国劇場でロードショー公開中。ヒューマントラストシネマ渋谷では19日に堀田眞三、21日に斉藤秀翼の舞台あいさつを行い、これ以後もキャストの舞台あいさつが予定されているという。

(C)2016『大怪獣モノ』製作委員会