4月29日・30日、東京・中野サンプラザで春のヘッドフォン祭 2016が開催。本稿では、オンキヨー&パイオニアイノベーションズブースを中心に、11階の「アネモ」ルームで見つけた気になる新製品をレポートする。

オンキヨー&パイオニアイノベーションズ

オンキヨー&パイオニアイノベーションズブースでは、2月5日に開発発表された桐製のヘッドホンを参考出品。試聴コーナーも設けていた。

桐製ヘッドホンを初公開

桐を素材に用いたハウジング内部に、琴や三味線などにみられる「綾杉彫り」を施しているのが特徴だ。会場には和太鼓に使われる「鱗彫り」「亀甲彫り」のハウジングも展示。綾杉彫りは低域が強め、鱗彫りは低域あっさりめ、亀甲彫りはその中間のサウンドが得られるそうで、ブース担当者は「将来的にはお客様に好みの彫りを選んでいただき、受注生産する形をとれたら」と話していた。

彫りは3種類。試聴用ヘッドホンには「綾杉彫り」を採用

また、このヘッドホンのために開発したというCNF(セルロースナノファイバー)振動板も置いてあった。木材パルプの構成繊維をナノレベルに微細化した「セルロースナノファイバー」を100%使用し、堅さと軽さを両立させることで、優れた高域再生を実現するという。

CNF振動板。非常に薄く、力をかけるとすぐにが変わってしまう

CNF振動板の原料となる液体も見せてくれた

さっそく聴いてみると、なんとも不思議な感覚がやってきた。ビジュアルがもたらす先入観もあるだろうが、ギターが琴に、ドラムが和太鼓に聴こえてきてしまうのだ。Eaglesの「Hotel California」がまさにそうで、特にイントロのギターは一度ハマってしまうとすべて和の響きに聴こえてくる。あれはもうほとんど琴曲だ。このヘッドホンで本当に琴曲を聴いたらどうなるのか、という好奇心も含め、いろいろなソースで試してみたくなる興味深いヘッドホンだった。

カスタムインイヤモニターの試作機も展示。きょう体はドライバー3機内蔵の上位モデル「IE-C3」と同じものを使っているが、5基のドライバー(High×1、Mid×2、Low×2)を内蔵している。発売は未定。

カスタムインイヤモニターの試作機。ドライバーを5基内蔵

また、新ハイレゾフォーマット「MQA」のデモも行っていた。ファイル容量の削減と高音質を両立させている点が特徴で、オンキヨー「DP-X1」、パイオニア「XDP-100R」はポータブルプレーヤーとして世界で初めてMQAに対応している。ハイレゾ音源配信サービス「e-onkyo music」でもMQA音源の取り扱いを開始しており、4月29日現在で92タイトル、約1,200曲をラインナップする。実際にFLACと聴き比べてみたが、クオリティは遜色ない。ただ、MQAのほうがすっきりとしていて輪郭が少しシャープになる印象だ。個人的には好みなので、対応楽曲の拡充に期待したいところだ。

SATOLEX

SATOLEXは、4月29日に発売された税込3,996円のハイレゾ対応イヤホン「Tubomi DH298-A1Bk」を出品していた。きょう体は樹脂製で、9㎜径のダイナミックドライバーを搭載。Made in Japanにこだわり、大阪府で生産を行っている。主な仕様は、再生周波数帯域が20Hz~45kHz、インピーダンスが32Ω、音圧感度が104dB。聴いてみたが、約4,000円とは思えないほどきちんとハイレゾを再現している。ブース担当者が「学生さんにももっとハイレゾを聞いてほしいんです」と話していたことが印象的だった。アルミきょう体の「DH299-A1Si」も税込9,936円で発売している。

DH298-A1Bk(左)とDH299-A1Si(右)

COWON

PLENUE/COWONブースには、ハイレゾプレーヤー最上位「PLENUE S」専用のクレードルが出品されていた。本体上部にはレベルメーターを、背面にはXLR端子を搭載している。

PLENUE Sの専用クレードル。片手では持ち上がらないほどに重い