ニュースアプリとしてスタートしたLINEのニュース事業。現在はLINEのアカウントを活用したニュース配信する仕組みに力を入れており、昨年にはニュース配信機能を外部のメディアに開放するなど、ニュース事業の拡大に力を入れている。そしてアプリからアカウントへというニュース事業の戦略転換は、LINEの目指す方向が大きく変化したことも示している。

LINE NEWSはアプリから公式アカウントが主体に

LINEがニュースアプリ「LINE NEWS」でニュース事業に本格参入したのは2013年。コミュニケーションアプリとして大きな存在感を発揮するLINEのサービスだけに大きな注目を集めたものの、ニュースアプリとしてはあくまで後発の存在であり、当初から劇的に利用者数を伸ばしたわけではなかった。

そのLINE NEWSが利用者数を大きく伸ばしたのは、独立したアプリとしてだけでなく、LINEのアプリ上でニュースを提供するようになってからだ。LINEは、専用のアカウントを登録することでニュースがダイジェスト形式で届く「LINE NEWS DIGEST」、同じく専用アカウントを登録することで、特定分野に関する情報をピックアップして配信する「LINE NEWSマガジン」などの新しいサービスを、LINE NEWSアプリ上ではなく、LINEのアプリ上で提供するようになった。このことが、普段利用しているLINEの上で、アカウントを登録するだけでニュースが読める手軽さをもたらし、LINE NEWSの利用を急速に伸ばしたのである。

専用のアカウントを登録しておくとニュースがプッシュ通知される「LINE NEWS DIGEST」など、アプリではなくLINE上でのニュース配信に力を入れるようになった

そうしたことからLINEは、LINE上でのニュース配信に一層力を入れるようになってきた。実際昨年12月には、公式アカウントを用いてLINE上でニュースを配信する仕組みを、外部のメディアにも開放する「LINEアカウントメディアプラットフォーム」を発表している。

ポータルサイト上のニュースサービスは、基本的にポータルを運営する側がニュースをピックアップして掲載するため、記事を提供するメディア自体の姿が見えにくくなることが、長年メディア側に大きな不満を与えてきた。LINEアカウントメディアプラットフォームは、そうしたメディア側の不満を受け、LINEのプラットフォームを活用しながらも、メディア側に裁量を与えることで各メディアの特性を生かすことが、大きな狙いとなっている。

このLINEアカウントメディアプラットフォームに参加しているメディアは、執筆時点(3月25日)で60社に上る。当初は新聞社や、スポーツ・趣味などの専門メディアが主体であったが、17の地方紙も参加するなど、ローカルニュースの開拓にも力を入れており、バリエーションを大きく広げているようだ。

昨年末に公式アカウントを用いたニュース配信の仕組みをオープン化した「LINEアカウントメディアプラットフォーム」を開始。現在では60のメディアが参加するに至っている