子宮頸がん予防ワクチンを接種するリスク、しないリスクとは?

「子宮頸(けい)がん予防ワクチン」の接種後に、原因不明の痛みやしびれが出たという報告が相次いでいます。

子宮頸がん予防ワクチンは、平成25年4月より、小学6年生~高校1年生の女子を対象に定期接種として実施されています。しかし、厚生労働省は副反応の報告を受け、同年6月14日に「(副反応に関する適切な情報提供ができるようになるまでは)ワクチン接種を積極的に推奨しない」としました。

副反応や国の対応を巡る報道を見て、今後接種をどうするか悩んでいる人も多いのではないでしょうか? この機会に、子宮頸がん予防ワクチンのリスクと有用性を整理してみましょう。

20・30代女性に急増する「子宮頸がん」

子宮頸がんとは、女性の子宮頸部(子宮の入り口部分)にできるがんのこと。その原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスに感染することだと明らかになっています。HPVは主に性交渉によって感染し、性交渉の経験が1度でもある女性であれば誰にでも感染リスクはあるものです。

HPVに感染しても、その9割以上は免疫力のおかげで自然に体外に出てしまいますが、自然に出ていかず、長期間にわたって持続感染した場合は、がんになることがあるとされています。ほかのがんと違って、20代や30代の若い女性の発症が多くなってきたのも特徴の一つです。

子宮頸がん予防ワクチンとは?

この子宮頸がんを予防するために開発されたのが、子宮頸がん予防ワクチン。性交渉をする前の10代のうちにワクチンを接種することで、100種以上あるHPVのうち、子宮頸がんの原因になる確率が高い2種(HPV16型・18型)の感染を予防し、70%以上のがんの発症を防ぐとされています。

ただしワクチン接種後には、一定の頻度で発熱や接種部分の腫れといった軽度の副反応が、まれにアナフィラキシー(呼吸困難などを伴うアレルギー)や、ギラン・バレー症候群(手足に力が入りにくくなる末しょう神経の病気)などの重度の副反応が起こることが知られています。それ以外にも、因果関係ははっきりしないものの、すぐにおさまらない痛みやしびれといった副反応の報告があり、詳しい調査が進められています。