2016年1月21日(現地時間。日本は22日早朝)、Microsoftは2016年に入って2回目のWindows 10 Insider Previewとなるビルド11102をリリースした。変更点はさほど多くないが、Microsoft Edgeに履歴メニューを追加し、Internet Explorerライクに使用できる。

新機能はMicrosoft Edgeの改善のみ

Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏は、「Insider Previewのリリース間隔を縮める」と以前から述べていたが、前回のビルド11099から約1週間で新ビルドをリリースしたのは少々驚かされた。もっともビルドナンバーが示しているように、改善箇所は多くない。公式ブログによれば、Microsoft Edgeの改善といくつかのバグを確認済みとAul氏は説明する。Windowsプラットフォームの共通コアとなる「OneCore」については何も述べていないことから、ファンダメンタル部分の改善は一段落ついたように見えるが、Slow(低速)リングに配信していないことから、完成はまだ先の話のようだ。

ビルド11102アップグレード直後、各種関連付けが初期化されたことを示すトースト通知が現れた

まずはMicrosoft Edgeの改善点を確認する。ツールバーに並ぶ<戻る><進む>ボタンを右クリックすると、直近のアクセス履歴メニューが表示され、目的のWebサイトへ素早くアクセスできるようになった。改めて述べるまでもなく同様の機能は、Internet Explorerで以前から実装していたため、目新しさは感じない。Windowsフィードバックを確認したが、少なくとも日本語でアクセス履歴メニューに関する投稿は見つからなかった。

Microsoft Edgeの<戻る>ボタンを右クリックすると、直近のアクセス履歴が現れる。クリックすれば直接開くことも可能だ。また、末尾に<History>が加わり、ハブの履歴を呼び出せる

次は既知の問題。Windowsグラフィックスタックで確認されたバグが原因で、一部のPCゲーム起動時や解像度変更時、もしくは全画面表示とウィンドウ表示を切り替えた際にクラッシュするという。Microsoftは「Fallout 4やメタルギアソリッドVなどのタイトルで確認済み」と述べ、他のタイトルでも問題が発生する可能性が高いそうだ。筆者のPC環境にはいずれのタイトルもインストールしていないため、「Cities Skyline」を起動してみたが問題は発生しなかった。

筆者の環境だけかもしれないが、ビルド11099からNVIDIA製ディスプレイドライバー(バージョン361.43)がクラッシュするようになり、ベータ版のバージョン361.60に更新しても、Windows 10 Insider Preview ビルド11102でも問題は解決しなかった。頻繁に発生するわけではないものの、クラッシュするタイミングが見えてこないため、OSの問題かデバイスドライバーの問題か切り分けられない。だが、他のNVIDIA製GPUを挿したPCでは発生しないため、今回のスタック関連バグが影響している可能性が高そうだ。

また、「ナレーター」や「拡大鏡」に代表されるアクセシビリティツールにも問題が発生している。各ツールが正常に動作せず、場合によってはクラッシュするそうだ。筆者の環境では再現できなかったが、サードパーティー製アクセシビリティツールも同様のため、スクリーンリーダーなどが欠かせないユーザーは本ビルドの使用は避けるべきだろう。なお、これらの問題は次のビルドで改善する予定だとAul氏は説明する。

さらにWindows 10へサインインする際に「WSClient.dll」に関するエラーダイアログが表示される場合があるそうだ。こちらのシステムファイルには「Windowsストアライセンスクライアント」という説明が加わっているため、ユニバーサルWindowsアプリのライセンス認証と思われる。その理由として「タスクスケジューラ」の「Microsoft/Windows/WS/License Validation」が、WSClient.dllを実行しているからだ。

ビルド10576で「タスクスケジューラ」を起動した状態。「WSRefreshBannedAppsListTask」は存在しない

上図はビルド10576上でキャプチャしたものだが、ビルド11099から「WSRefreshBannedAppsListTask」というタスクが加わった環境があるという(筆者の環境では確認できなかった)。そのため、ビルド11099から発生していた問題だが、Aul氏は問題を回避するため「schtasks /delete /TN “\Microsoft\Windows\WS\WSRefreshBannedAppsListTask” /F」を実行すればよいと述べているが、タスク名から察するに、アプリケーションの実行禁止リストを更新するタスクと思われるため、「schtasks /Change /Disable /TN “\Microsoft\Windows\WS\WSRefreshBannedAppsListTask” /F」と実行して、タスクを無効にした方がいいだろう。

他にも一部のWi-Fiカードに対して、Windows 10と互換性がないことを示すメッセージが現れるという。筆者は同問題に見舞われていないが、Aul氏は回避策として最新のデバイスドライバーの再インストールを推奨している。また、アクションセンターの<接続>ボタンが表示されなくなった。これまで多用していた場合は代わりに[Win]+[K]キーを使ってほしい。ちなみに、Windows Insider Program参加者向けアプリケーション「Insider HUB」にキャッシュが正しくリフレッシュされないバグも確認されている。

確かにアクションセンターを開いても、<接続>ボタンがなくなっている

「接続」は[Win]+[K]キーを押せば呼び出せる

2016年中に行われる大型アップデート「Redstone(開発コード名)」でどのような機能が加わるのか予想するのも難しいが、現時点で分かっているのはMicrosoft Edgeの拡張機能サポートだ。ビルド11102のMicrosoft Edgeで「about:flags」で確認したところ、ビルド11099で加わった<Allow unpacked extensions to be loaded>をローカライズし、<アンパックされた拡張機能の読み込みを許可する>に変更されている。Microsoftからは拡張機能に関する詳しいアナウンスは行われていないが、近いうちにMicrosoft Edgeの機能を自由に拡張できそうだ。

Microsoft Edgeの「about:flags」。拡張機能に関すると思われる設定項目が加わった(正しくはビルド11099から追加)

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第38回) - One Coreの改善に留まったビルド11099
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