パナソニックは21日、頑丈ノートPC「TOUGHBOOK」の新モデルとして、液晶着脱型の「CF-20」シリーズを発表した。2016年3下旬から順次発売。価格はオープン。店頭予想価格は税別300,000円弱から。

「TOUGHBOOK」シリーズ初となる、コンバーチブル機構を備えたデタッチャブル式のモバイルPC。液晶部に基板を内蔵し、タブレットとして着脱できるほか、液晶を背面側に回転させて表示できるコンバーチブル機構も備える。

「CF-20」発表会では、パナソニックのラグビーチーム「ワイルドナイツ」の面々が登場し、「CF-20」の堅牢性をアピールした。左から順に、稲垣啓太選手、堀江翔太選手、ホラニ 龍コリニアシ選手

10.1型の堅牢モバイルPC「CF-20」

「TOUGHBOOK」初のデタッチャブル

同日開催された発表会では、「CF-20」シリーズの特徴や開発背景などが語られた。

10.1型の「CF-20」シリーズは、同社が松下電器産業時代となる2006年に発表した同サイズの頑丈PC「CF-19」の後継機となる。この「CF-19」は液晶が180度回転できるコンバーチブルタイプだったが、今回の「CF-20」では、液晶部を着脱できる"進化形"に。取り外した液晶部は、液晶を背面側へ向けても取り付けられ、同社では「ノートPC」「コンバーチブル」「タブレット」の三形態で利用できるとアピールする。

CF-20。「ノートPC」「コンバーチブル」「タブレット」の三形態が特徴

警察やガス、水道、電気設備、工事現場などで使われる「TOUGHBOOK」シリーズは、防滴性や耐衝撃、屋外での見やすさ、手袋での利用といった、顧客からの要望をカバーしてきた。今回の「CF-20」では、顧客からの要望として、「シーンによってPCとタブレットを使い分けたい」「二台持ちを解消したい」という要望に応えたものという。

「CF-20」の開発背景

その特徴は、着脱機構のほか、薄型・軽量、豊富なインタフェース、雨天時や手袋装着時でも利用可能であること、などが挙げられる。最大の特徴である着脱部分に関しては、独自設計のロック機構を採用。一般的なデタッチャブルPCは、装着時一方向でロックするため同方向に力が加えられた場合外れる可能性があるが、「CF-20」では、内部で部品が回転するダブルフック着脱機構を採用し、装着時に外れにくく、取外し時に外しやすい機構を目指した。

頑丈性能の解説。独自のロック機構は、内部パーツが回転する新構造で、「外れにくく、外しやすい」を目指した

液晶を接続するロック部分(キーボード側)。写真左が着脱できる未ロック状態、写真右が取り付けた時のロック状態。金属部分がわずかに回転している

また、薄型・軽量に関しては、「CF-19」の約2.3kgと比べ、「CF-20」では約1.76kgと、約540g軽量化。厚みも49mmから33.5mmに約15.5mm薄型化。なお、「CF-19」は当面併売するが、本機の登場により、市場の様子をみながら「CF-20」へ移行していく予定とのこと。

端子に関しては、タブレット部にはUSB 3.0×1、HDMI×1、microSDカード、LANポート、ヘッドセット端子と、「本体のみでも通常通り使える」という端子類を搭載。キーボード部には、USB 3.0×2、USB 2.0×1、LANポート、SDカードスロット、シリアルポート、HDMIポート、D-Subポートを用意した。

「CF-20」の特徴。シリコン素材の高圧縮防水パッキンを新採用し、着脱型ながら防塵・防滴性能はIP65に準拠する。を確保した。スマートカードリーダーやデジタイザ、ホットスワップ対応など、ユーザーの用途に合わせてカスタマイズも可能

欧米で高いシェア「日本でも最低10万台売りたい」

同社AVCネットワークス社 常務 ITプロダクツ事業部の坂元寛明事業部長は、「TOUGUBOOK」シリーズの欧米シェアの高さを強調した。

「TOUGUBOOK」シリーズは、ワールドワイドの累計出荷台数が400万台を超えたという。海外では警察や倉庫事業、病院、ロードサービス、自動車に組み込んで持ち運ぶといった使い方が主流。400万台の内訳は、米国63%、欧州25%、日本7%、その他の国が5%。

坂元氏は、今後国内でも欧米並に堅牢PCの需要が増えると見込む。「2018年から2020年にかけ、最低10万台は売っていきたい。国内の需要も増えると思われ、日本市場でも無理な数字ではないと思っている」と意気込んだ。

海外での導入事例

「TOUGHBOOK」累計出荷台数

パナソニック AVCネットワークス社 常務 ITプロダクツ事業部 事業部長の坂元寛明氏。1990年の入社後、海外営業に配属され、ドイツで14年、イギリスで2年など、「TOUGHBOOK」の海外販売に携わった経歴を持つ

「CF-20」シリーズの主な仕様

「CF-20」シリーズは、OSの種類やLTEの対応・非対応などで、計4モデルをラインナップする。最小構成の主な仕様は、CPUがIntel Core m5-6Y57 vPro(1.10GHz)、メモリが4GB、ストレージが128GB SSD、ディスプレイが10.1型ワイド(1,920×1,200ドット、10点タッチ対応)、光学ドライブが非搭載、OSがWindows 10 64bitなど。LTEは非対応。防塵・防滴性能はIP65に準拠する。

通信機能は、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Gigabit対応有線LAN、Bluetooth 4.1など。キーボード装着時の本体サイズはW272×D233×H33.5mm、重量は約1.76kg。タブレットのみでは、W272×D233×H16.4mm、0.95kg。

発表会で登壇した、パナソニックのラグビーチーム「ワイルドナイツ」

ワイルドナイツのホラニ 龍コリニアシ選手が、「TOUGHBOOK」CF-20シリーズの頑丈さを確かめるため、タックルするデモンストレーションを披露した

「大丈夫かなあ」と心配していた堀江選手だが、タックル後でもPCは無事に起動した

パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 TOUGHBOOK CF-20 プロジェクトリーダーの安政馨氏は、「CF-20」を90cmの高さから落としたり、水を掛けたりするデモを実施。こちらも無事に起動した

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