スカパーJSATは、次世代の高画質技術である「HDR」を適用した4K試験放送を行っている。試験放送の期間はInter BEE 2015の開催と同じく11月20日まで。JCSAT-3A衛星を使用し、通常のスカパー!プレミアムチャンネルの4K放送を止めてHDR映像を送信している。

4K HDR放送の受信デモがIntere BEE 2015の東芝ブースで行われている。左がHDRの映像で、右がSDR相当の映像だ

今回の試験放送ではHDR方式に「Hybrid Log Gamma (ハイブリッドログガンマ)」を採用。UltraHD Blu-rayでは「HDR10」が採用されているが、Hybrid Log Gammaはそれとは別の方式。生放送にも使用できるのが特徴となっており、映画のような既存コンテンツだけでなく、リアルタイムのスポーツ中継にも使用できる。スカパーJSATでは、Hybrid Log Gamma方式のHDRの研究を続けており、今回の試験放送で実用化にひとつ近づいた。

ライブ放送にも使用できるのが「Hybrid Log Gamma」の特徴

Hybrid Log Gammaは、現行の4K放送規格との互換性を持つのも特徴。Hybrid Log Gammaに非対応の4Kテレビでも、SDR(従来画質)で表示できる。したがって試験放送期間中、スカパー!プレミアムチャンネルの加入者には、Hybrid Log Gammaの信号が届いているが、4Kテレビ側が対応していないため、通常のSDR表示となる。Inter BEE 2015の東芝ブースでは、レグザ「65Z20X」を改造したモデルでHDRの受信デモを行っている。

Hybrid Log Gammaに関しては、現在ARIB(電波産業会)が規格の策定を進めている段階。東芝によると、現行のレグザ Z20XシリーズがHybrid Log Gamma規格にアップデート対応できるかどうかは、規格の詳細が固まっていないため不明であるとのこと。ただし、「やりたいという気持ちはある」と力を込めていた。