【レポート】

東京都世田谷区の待機児童はどうして減らないのか - 区の担当課長に聞いた

全国の市区町村で待機児童数最多の東京都世田谷区で区の担当者に話を聞いた

保育園に入れたくても入れられない深刻な状況が続く「待機児童」問題。厚生労働省によると、全国の待機児童数は今年に入り5年ぶりに増加しているという(2015年4月1日時点)。その数、2万3,167人。そんななか、全国の市区町村のうち待機児童数が最多となっている東京都世田谷区では、認可保育施設の申し込み受付が始まっている。

ママたちが熾烈な保活競争に苦しむ中、行政は保育の現状をどう捉え、課題解決に取り組んでいるのか。世田谷区保育計画・整備支援担当課の菅井英樹課長に聞いた。

待機児童問題の背景には「未就学児&共働き家庭の増加」がある

世田谷区によると、認可保育施設に入れない待機児童の数は近年増加傾向にある。平成23年度に688人いた待機児童が昨年度は1,000人を超え、今年度に入ってからは1,182人となった。

なぜこれほどまでに待機児童が増えてしまったのか。菅井課長はその理由として、「未就学児(0~5歳児)の数が想定を超える勢いで増えていること」をあげた。ここ数年は年に1,000人ペースで増加。これに伴い、平成20年春入園の希望者が2,860人であったのが、平成27年の時点では6,175人と倍以上になっている。

また、「平成20年のリーマンショック以降、共働き家庭が増えたことなどにより、保育施設のニーズ自体が高くなっていることも理由の1つ」と語る菅井課長。これらの要因から、準備すべき保育施設の想定も上回っていて、定員が足りないという状況が生まれているのだという。

認可保育施設の新設で昨年以上の定員増が可能

そのうえで、これらの課題をどのように解決しようとしているのか。区が最も重要な施策として進めているのが認可保育園の新設だ。今年度は4月の時点で1,221人分の定員増を実現。来年4月には、現在調整中の施設も含めると今年度以上の定員増を見込んでいる。

加えて、今年から法制化された「小規模認可保育所」の整備もあわせて進めていく方針。「小規模認可保育所」は、対象を0~2歳児に限定した保育施設ではあるが、一般的な保育施設に比べて、低予算で開園が可能だという。今年4月には4カ所の保育所を認定し63名の定員を確保した。

一方で、0歳児の定員は5年後も足りない

一方で、菅井課長は「現時点の計画では、5年後も0歳児の定員は足りない見込み」と話す。これまでの計画で、区では未就学児童数のピークを平成30年(4万2,851人)と予想していたが、昨年1月の時点で4万3,365人と既にピーク時の想定を超えてしまっているからだ。今後、計画の見直しも検討しているという。

また、待機児童の多くを占める0~2歳児対象の「小規模認可保育所」の整備に関しても、実は課題が多い。小規模施設に適した物件の確保は難しく、その規模によっては利益を出すのが難しいため、事業者が集まりにくいというのだ。さらに同区では、3歳以降も確実に保育施設に通ってもらおうと、連携先の保育園の確保も要請していて認定のハードルが上がっているのが実情だ。

待機児童問題について、行政が傍観しているわけでは決してない。しかし、今後も保育施設を確保するために親たちが奔走する状況は続きそうだ。

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