HDDとSSDのいいとこ取り、「SSHD」(Solid State Hybrid Drive)
PCのストレージとして広く使われてきたHDDだが、近年はNANDフラッシュを採用したSSDの割合が増えてきた。SSDは、HDDとは異なり、モーターやヘッドなどの機械的に動く部分を持たないことが特徴だ。アクセス速度や転送速度に優れるだけでなく、衝撃にも強く、消費電力が小さいというメリットがある。特に携帯性重視のモバイルPCやUltrabookでは、大半の製品がSSDを搭載するようになった。
SSDで唯一の弱点といえるのは、HDDに比べて容量当たりの単価が高く、大容量化にもコストがかかることだ。そのため、HDDレコーダーやデスクトップPCといった、容量やコストパフォーマンスを重視する用途では、依然としてHDDが主流である。
そこで、HDDとSSDのいいとこ取りを狙って登場してきたのが、SSHD(Solid State Hybrid Drive)と呼ばれる製品だ。SSHDは、HDDにNANDフラッシュを組み合わせた製品であり、NANDフラッシュはHDDのキャッシュとして使われる。SSHDは、SSDの高速性とHDDの大容量を併せ持った製品というわけだ。容量当たりの単価はHDDとあまり変わらないが、NANDフラッシュをキャッシュとして利用することにより、頻繁に使うデータへのアクセスが高速化される。
ウエスタンデジタル初のSSHD「WD Blue SSHD」
HDDメーカーとして有名なウエスタンデジタルから登場した「WD Blue SSHD」は、8GBのNANDフラッシュを搭載したSSHDだ。3.5インチフォームファクターで容量4TBの「WD40E31X」と、2.5インチフォームファクターで容量1TBの「WD10J31X」の2モデルが用意されている。インタフェースは一般的なSATA 6Gbps対応だ。なお、WD10J31Xの厚さは2.5インチフォームファクターでは一般的な9.5mmだが、Ultrabookなどでは7mm厚のHDDやSSDが採用されていることが多いので、Ultrabookの換装用としては使えないこともある。
WD Blue SSHDは、ウエスタンデジタル初のSSHDであるのも注目したいところ。自己学習する独自アルゴリズムを搭載し、高速アクセスが必要なデータをキャッシュ役のNANDフラッシュに保存することで、従来のHDD比で最大5倍というSSD並みのパフォーマンスと、HDD並みの大容量を両立させているという。自己学習機能はドライブ内部のファームウェアで実現されているため、OSやデバイスドライバの影響を受けない。
ただし、今回は新品を使ってパフォーマンスを検証したので、自己学習による高速化が得られていない点を、あらかじめお断りしておく。個人個人の環境で使用時間が長くなるほど、OSやアプリケーションの起動時眼が短縮されたりといった効果が期待できる。