PCやタブレットのヘビーユーザーにおすすめのNASキット

PCやタブレットの普及がすすみ、家族一人一人が1台ずつPCやタブレットを持っていたり、一人で複数の端末を使い分けている人も珍しくはなくなった。PCやタブレットを日常的に利用している人の共通の悩みが、データのバックアップであろう。

HDDは、落下などの衝撃でクラッシュしてしまう可能性があり、失われては困る重要なデータはこまめなバックアップが大切だ。また、ローカルのストレージの容量が足りないという悩みを抱えている人も多い。写真や動画なども年々高解像度化が進み、購入時は十分余裕があると思っていたPCやタブレットのストレージ容量が、あっという間に一杯になってしまう。

ストレージ容量不足の対策としては、ローカルのストレージを大容量のものに換装するか、USB外付けHDDを接続するのが手っ取り早い。最近では、インターネット上のクラウドストレージやオンラインストレージと呼ばれるサービスを利用するのも一般的になっている。クラウドストレージは、ハードウェアへの新たな投資が不要なことが利点だが、インターネット経由でアクセスするため、読み書きスピードがあまり速くはない。ローカルストレージを大容量のものに換装する方法は、スピードは高速だが、あくまでそのPCのストレージ不足しか解消できない。

そこでおすすめしたいのが、NAS(Network Attached Storage)の導入だ。NASは、LAN経由でアクセスするストレージであり、ローカルストレージとクラウドストレージの中間的な位置付けとなる。パフォーマンスについても、クラウドストレージ以上、ローカルストレージ未満となるが、複数のPCやタブレットからアクセスが可能で、データの共有やマルチメディアファイルの一元管理にもぴったりだ。

高機能で使い勝手のよいQNAPのTurbo NASシリーズ

1ベイモデルの「TS-112P」。コンパクトで邪魔にならない

2ベイモデルの「TS-212P」。HDDを2台搭載でき、RAID 0/1/JBODに対応する

NAS自体は、決して新しい製品ではなく、周辺機器メーカーから数多く発売されている。当初はシンプルなファイルサーバー機能しかないものが中心であったが、メディアサーバーやプリントサーバーの機能を備えたり、外部からインターネット経由でアクセスできるものなど、高機能化が進んでいる。その中でも、ここ数年注目を集めているのが、QNAP社のTurbo NASシリーズだ。

Turbo NASシリーズは、QNAP独自のNAS用OS「QTS」を搭載していることが特徴である。QTSは、GUIベースの直感的な操作を実現し、サーバーやネットワークに関する専門知識がなくても、Webブラウザを使ってNASの管理・運用が可能。また、インターネット経由でNASにアクセスを行うパーソナルクラウドストレージを簡単に構築できるmyQNAPcloudや、複数のデバイス間でのデータ同期を可能にするQsyncといったサービスも提供されているなど、非常に高機能だ。さらに、標準機能では満足できないユーザーのために、Turbo NAS専用アプリケーションをダウンロードできるApp Centerも提供している。App Centerには100以上のアプリが公開され、Turbo NASの機能を拡張できるのだ。

このようにTurbo NASシリーズは、高機能で使い勝手に優れたNASとして人気を集めていたが、これまでは低価格なものでも3万円程度。別途HDDが必要なことを考えると、気軽に導入するには価格的なハードルが高かった。しかし今回、テックウインドが発売した新製品「TS-112P」(1ベイモデル)と「TS-212P」(2ベイモデル)は、Turbo NASシリーズで最も低価格な製品であり、実勢価格はTS-112Pが15,800円程度、TS-212Pが19,800円程度だ。NASとしての機能は、SOHO向け上位モデルとほとんど変わらない。

コストパフォーマンスの高いTS-112P/212Pは、初めてNASを導入するユーザーにもおすすめの製品だ。ここでは、TS-112PとTS-212Pを早速レビューしていきたい。前述したように、Turbo NASシリーズは非常に高機能なので、前編と後編の2回に分けて紹介する。