MicrosoftのOSG(Operating Systems Group) Data and Fundamentalsチームでジェネラルマネージャーを勤めるGabriel Aul氏は、Windows 10テクニカルプレビュー ビルド10041に加わった多くの新機能を紹介しつつ、数多くのバグが残っていることを公式ブログで述べている。確かにメインPCにインストールして常用できるレベルではないものの、次期Windowsを知るよい機会であることは確かだ。今回もビルド9926と比較して改善・変更された箇所を中心に報告する。

Windows Phone 8の音声合成エンジンを搭載

前回の記事を寄稿してから、試行錯誤を繰り返してみたものの、依然と表示言語は英語のまま。だが、改めてWindows 10テクニカルプレビュー日本語版のビルド9926を新規インストールし、そこからビルド10041へアップデートしてみたところ表示言語は日本語となり、下図のようにインストールの進捗状況も日本語で表示できた。ただし、BYODを選択するためのプロセスが現れなかったので、こちらは英語版ものを紹介しておこう。

Windows 10テクニカルプレビュー ビルド9926日本語版から、Windows Update経由でビルド10041へアップデートしたところ、進捗状況も日本語で表示された

ビルド10041で加わったPCの所有者を会社・個人から選択するセットアッププロセス。BYODを想定し、機能の有無を選択すると思われる(こちらは別PCで画面キャプチャーを作成した)

こちらは日本語化したWindows 10テクニカルプレビュー ビルド10041のデスクトップ

さて、新Webブラウザーとなる予定の「Project Spartan」は、ビルド10041に含まれていない。他方で音声アシスタントシステム「Cortana(コルタナ)」は中国/英国/フランス/イタリア/ドイツ/スペインの各言語で動作するというが、日本語は相変わらず未対応だ。言語に関して注目したいのはスピーチエンジンのダウンロード機能である。

「時刻と言語\地域と言語」に並ぶ「日本語」の<オプション>ボタンからダウンロードを実行すると、「システム\音声認識」の「音声合成」に4種類の音声合成エンジンが加わった。日本語で話す「Microsoft Ayumi Mobile」「Microsoft Ichiro Mobile」の2つだが、これらの名称から分かるように、各音声合成エンジンはWindows Phone 8のデータを取り込んだものだ。

日本語の詳細設定である「言語のオプション」からダウンロードを実行すると使用可能になる音声認識エンジン

Windows Phone 8から取り込んだ「Microsoft Ayumi Mobile」「Microsoft Ichiro Mobile」の2つで日本語のスピーチが可能になる。ちなみに音声言語の選択肢は本ビルドでも「英語」のみ

さらに言語関係では、手書き入力のキャンパスを刷新。従来の手書きパネルを短いテキスト入力用に再構築し、Surface Proシリーズのようなペンタッチを想定している。もっとも複数のPCで動作を確認したところ、タッチキーボードが自体が起動しない環境もあり、不安定な印象も拭えなかった。

タッチキーボードを起動し、手書き入力へ切り替えた状態。ペン入力を想定しているがマウスで文字をなぞるように書くこともできる

キャンパスの種類は「言語のオプション」の<自由に文字を書く><1文字ずつ書く>から選択できるはずだが、変化を確認できなかった

Windows 10で加わる無線LANの新機能

システム面では、無線LANに関する改良が加わったのも本ビルドが備える特徴の1つ。通知領域のアイコンをクリックすると、新しいアクションセンターのデザインを用いたアクセスポイントの切り替えが可能になった。さらにアクションセンターの機能選択として「Wi-Fi」「機内モード」の2つが並ぶため、1箇所から無線LANに関する操作が行える。なお、この機能をMicrosoftは"ネットワークフライアウト"と名付けているが、現時点では未完成であるとAul氏はビルド10041をアナウンスする公式ブログで述べていた。

本ビルドから加わった「ネットワークフライアウト」。無線LANに関する操作を1箇所から行える

Windows 10は無線LANに関する新しい機能が加わるという。既にテクニカルプレビューの時点で、無線LANのデバイスドライバーの一部はWDI(WLAN Device Driver Interface)に置き換わり、信頼性の向上やローミング時間の改善といった無線LANに関するUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供する予定だ。その結果として、WiFi認証の相互接続性を担保する"Wi-Fi HotSpot 2.0"への対応や、Wi-Fi HotSpotへの自動接続、無線LANの共有機能、Wi-Fiダイレクトの改善が加わる。

Windows 10は"Wi-Fi HotSpot 2.0"のサポートなど無線LANに関する改善が加わる予定だ(WinHEC 2015の資料より抜粋)

Surface ProにWindows 10をインストールしたが、HotSpotへの接続項目は見つかったものの、共有機能は確認できなかった。これらは無線LANのデバイスドライバーによって左右されるようだ

上図はWinHEC 2015の資料から抜粋したものだ。"ノートPC&タブレット用無線LANセンサー"と題したスライドからも分かるように、「Wi-Fiセンサー」に前述した機能の設定項目が加わっている。Surface Proにインストールしたビルド10041で確認したところ、Wi-Fi HotSpotへの自動接続は「Wi-Fiホットスポットに接続する」という項目名で確認できたが、無線LANの共有機能は未確認。これらの新機能は同資料で"WDIのみ"と説明されていることから、チップやデバイスドライバー側の対応が欠かせないようだ。なお、Windows 10は無線LAN以外にもBluetoothやNFCに関する機能向上も加わる予定である。

Windows 10の開発はWindows Inside Program参加者からのフィードバックを反映させているが、Windowsストアアプリの「Photos(写真)」に対する意見が多かったのか、今回パフォーマンスと安定性の向上が加わった。さらに多くのデジタルカメラが使用するRAW形式をサポートし、未対応のRAW形式に対してはデジタルカメラの型番をフィードバックすることで対応するとAul氏は語る。

さらに今後数週間でショートカットキー機能を追加するとAul氏は述べているが、その一端として矢印キーによる画像表示とプロパティ情報の表示画面切り替えが加わった。現時点では、他の画像表示アプリケーションと比較しても使いにくい印象は拭えないものの、リリースまでの機能改善によっては標準アプリケーションの地位を目指せるかもしれない。

機能を刷新したWindowsストアアプリの「Photos」。画像表示時はツールボタンも現れる

新たに加わったショートカットキーの[↓]キーを押すと、「File info」画面に切り替わる。ちなみに戻る場合は[↑]キーを押せばよい

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第16回) - 更なる加速を見せるWindows 10 ビルド10041
http://news.mynavi.jp/articles/2015/03/19/windows10/
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