10Wのパワーと2本のパッシブラジエーターは効果大

では、新しい手のひらサイズスピーカーがどのようなサウンドなのかチェックしてみよう。筆者の手もとにあるSRS-BTV5と比較してみた。

SRS-BTV5(写真左)とSRS-X11(写真右)

まず、パワーについては大きな違いが出た。最大出力1.2WのSRS-BTV5もボリュームを上げれば、室内で聴くのに十分な音量が出る。しかし、ボリュームを上げた際のSRS-BTV5のサウンドは決して心地よいものではない。それに対して、SRS-X11はボリュームを上げてもバランスが破綻しない。また、2本のパッシブラジエーターが搭載されたことによって、SRS-BTV5では出なかった低域がバランスよく再生されるのも大きな違いだ。

ただし、SRS-X11はSRS-BTV5や前モデルのSRS-X1のような「360度サークルサウンドステージ」ではなく、設置角度によって音色が異なってしまう。SRS-BTV5やSRS-X1では、上向きのユニットの上に備えられたディフューザーにより音を全周に広げていたのだが、SRS-X11のユニットはフロントバッフルにマウントされているだけで、中高域以上では指向性が生じてしまう。

2本のSRS-X11をステレオで使うSpeaker add機能

SRS-X11はモノラルスピーカーだが、2台のSRS-X11をペアリングしてステレオ再生を行うSpeaker add機能を持つ。背面パネルのADDボタンを押して2台をペアリングした後、プレーヤーとBluetoothで接続することで、SRS-X11×2台をステレオスピーカーとして使用できるのだ。

SRS-X11を2台揃えるよりも、1台でステレオ再生が可能なBluetoothスピーカーを使用したほうが現実的かもしれない。しかし、コンパクトなワンボックスタイプのステレオスピーカーを使用するよりも、2台のSRS-X11のほうが左右チャンネルの幅が広く取れて立体的に再生できるのも確かだ。

Speaker add機能でステレオ再生をしてみた。幅を広く取れるので立体的な再生ができる

音質とパワーの向上で、より満足度の高いモデルに

手のひらサイズスピーカー初代モデルのSRS-BTV5は、コンパクトさと球体デザインを特徴としていた。次に発売されたSRS-X1は、SRS-BTV5をブラッシュアップしたうえで防水性も盛り込んだモデルだ。

このたびのSRS-X11は、防水性能を持たないという点では初代モデルに近いといえるだろう。しかし、SRS-X1と比較してもパワー、音質面、操作性の面での進化は大きい。いつも身近に置いておける再生環境としての手軽さと、必要十分なサウンドクオリティを備えたモデルだといえる。