【レポート】

タバコ副流煙は一番身近なPM2.5だった!? 受動喫煙が子どもに与える影響とは

成長中の子どもたちにとって、タバコのリスクは大人以上に深刻。「子どもが吸うわけじゃないんだから問題ない」と思ったアナタが知らないだけかもしれない。内科・精神科の診療をしながら禁煙外来を担当し、アフター5や週末は子どもたちへの講演会や禁煙のイベントなど、「禁煙推進にすべて捧げている」という川合厚子先生。現在会長を務める「NPO法人山形県喫煙問題研究会」では「きれいな空気を子どもたちに」をスローガンに掲げている。そんな川合先生に、子どもの体とタバコについて話を聞いてみました。

「社会医療法人公徳会 トータルヘルスクリニック院長」「NPO法人山形県喫煙問題研究会会長」の川合厚子先生

想像以上?副流煙は危険??

タバコの煙にはさまざまな有害物質が含まれていて、健康に悪い。大人が吸っても健康に影響のあるタバコを、成長中の子どもが吸ったら??今回先生には「受動喫煙」に関して聞いてみました。受動喫煙とは親が吸っているタバコの先から出る煙(副流煙)や、口から吐き出される煙(呼出煙)にさらされることだ。それを吸った子どもの体には、どんな影響があるのだろうか。

「最も有名なのは、乳幼児突然死症候群ですね。赤ちゃんが突然亡くなってしまう。これは赤ちゃんのうつぶせ寝のほか、家族の喫煙が要因とされています」

同じ室内でタバコを吸っているだけで、知らないうちに自分の子どもにリスクを背負わせる場合もあるようです。

「他にも家族の喫煙が大きな要因となり、子どもの呼吸器疾患を起こしやすいといわれています。気管支炎、肺炎やぜんそく発作、咳や痰を起こしやすくなったり、肺の発達の遅れにつながります。また、米国疾病管理予防センターの報告では、中耳炎にかかりやすく、脳腫瘍とリンパ腫、白血病にも因果関係があるとされています」

基本的に、副流煙に含まれる化学物質の量は、本人が吸っている主流煙に比べて何倍も多い。国際がん研究機関(IARC)のデータによれば、ニコチンは2.3倍、発がん性物質であるカドミウムは1.5倍。アンモニアは何と147倍。その他シックハウス症候群で知られているホルムアルデヒドも多いという。

「だから、刺激で目やのどが痛くなりますよね。副流煙の影響って非常に大きいんです」

北京の環境問題どころじゃないPM2.5

「実は、タバコの煙はPM2.5のかたまりで、私たちが一番身近に接するPM2.5は、タバコの煙なのです」と川合先生。え、環境問題のPM2.5?

少しおさらいしておくと、PM2.5とは物が燃えたり、大気汚染物質が化学反応を起こしたりして発生する2.5マイクロメートル以下の微粒子。日本の環境基準では35マイクログラム/立方メートル以下が望ましいとされており、70マイクログラム/立方メートルを超えると「注意喚起」となり、学校や保育園では屋外の活動をやめるなどの対処がとられている。問題になっている北京はいまも400マイクログラム/立方メートルくらいの「危険水準」を超えているが、川合先生によれば、喫煙中の室内はそれ以上の場合があるそうだ。

「たとえば、マイカーの中。車内は狭いので、1本タバコに火をつけると窓を開けていても1000マイクログラム/立方メートル、窓を閉めていると3000マイクログラム/立方メートルになることがあります。保育園で外遊びが中止されても、親御さんが送り迎えの車内でタバコを吸ったらそれどころではありません」

ニコチン依存は世代を超えて連鎖する

受動喫煙の問題も大だが、子ども自身の喫煙ももちろん問題だ。

「生まれたときから周囲の大人がタバコを吸っていると、子供も大人になったとき、あるいは大人になる前にタバコを吸い始めやすいのです。小学5年生までにちょっとでもタバコを吸った経験のある子どもは、成人になったときに喫煙する割合が高いこともわかっています」

子どもは親の背中を見て育つ。「タバコが似あうシブイ俺」などと自惚れていると、子どもにはその姿が刷り込まれてしまう危険もあるようだ。だから、まず親が吸わないことが大切だという。川合先生が診療の傍ら、小学校での喫煙防止教育に力をいれているのは「子どもへの教育だけではなく、親の禁煙につながることを期待している」からだ。

「大人はタバコが体には悪いのは何となく知っていても、具体的な影響までは知りません。だから講演を聞いた子どもが家で『タバコをやめて』と訴えても『それは親の勝手だ』とか『わかったわかった!』と受け流したりして、子どもたちが親の体を心配する気持ちを受け止められないのです。仕事が忙しい年代の親御さんが、自分からわざわざタバコについて学ぶのは難しいでしょうが、子どもとタバコについて話し合う時間を持ってもらえたらと思います」

自分の健康は犠牲にしてもタバコはやめられないが、子どもの健康のためなら禁煙してもいい、と思った人もいるかもしれない。川合先生、そんな人へのアドバイスをお願いします。

「少しでもタバコをやめたい気持ちがあったら、禁煙外来を受診するのがお勧めです。禁煙治療は条件を満たせば保険が使えて、より楽により確実に、少ない費用で禁煙できます。お薬にはいくつか種類もありますので、医師と相談して自分にあったものを選ぶとよいと思います。また、薬局・ドラッグストアで買える禁煙補助薬(パッチタイプ・ガムタイプ)もありますが、ガムタイプは噛み方が普通のガムとは異なるので、薬剤師さん・登録販売者さんによく説明を聞いてください。薬局・ドラッグストアでカウンセリングを受け、正しい情報にもとづいて、禁煙することが大事です」

お子さんと家族、そして自分の将来の健康のためにも、ぜひ禁煙にトライしてはいかがだろうか。

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