米Mozillaは、9月2日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 32」をリリースした。本稿では、インストール手順や新機能などを紹介したい。また、メニューパネルを変更するStylishアドオンのスタイルを紹介しよう。

Firefox 32のインストール

まずは、Firefox 32のアップデートである。自動アップデートもあるが、速やかに手動でアップデートしよう。アップデートの方法は、いつもと同じである。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動して更新を完了]をクリックする(図1)。

図1 Firefox 32へのアップデート

新規に、Firefox 32をインストールする場合、Firefox 32のWebページからインストーラーをダウンロードする(図2)。

図2 Firefoxのダウンロードページ

[Firefox無料ダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、 インストールを開始する(図3)。

図3 Firefox 32のインストール

特に難しいことはない。画面の指示通りに進もう。以降で、Firefox 32の新機能や変更点を見ていこう。

Firefox 32の新機能

今回の新機能と変更点は、以下の通りである。

  • 新しいHTTPキャッシュ(v2)が標準で有効に
  • 世代別GC(ガベージコレクション)が統合
  • 公開鍵のピンニングが有効に
  • 検索ツールバーに検索結果の件数が表示
  • コンテキストメニューに戻る、進む、更新、このページをブックマークのアイコンを追加・パスワードマネージャでログインに関するメタデータを閲覧可能に
  • 低ソルビア語ロケールを追加
  • いくつかの1024bitルート証明書が削除され無効に
  • パスワードマネージャとアドオンマネージャの性能が向上

HTTPキャッシュであるが、目的はリクエストの回数を減らしたり、送受信の回数を減らすことにある。新しいHTTPキャッシュにより、ロード時間の短縮などが達成される。

前バージョンでは、見送りとなった世代別GC(ガベージコレクション)が統合された。これまでの方式では、メモリ領域が満杯となったときにGC(不要なメモリ領域の解放)をすべて行う。この方式の欠点は、メモリ領域が大きくなるとGCの時間がかかり負荷がかかる。そこで、新しい領域と古い領域にメモリ領域が分けて管理する。まず、新しい領域でGCが行われる。この操作で残ったオブジェクトは古い領域に移動する。そして古い領域が満杯になると全領域のGCが行われる。全領域がGCされることが少なくなり、効率が向上する。

公開鍵のピンニング(ピン留め)は、ブラウザ内に一定期間、Webサイトの公開鍵をピンニングする。これは、中間者攻撃を防ぐ仕組みである。Firefox 32では、Twitter、AMO(Addons Mozilla Org)、Mozilla CDNなどがピンニングされる(今後、追加される予定)。パスワードマネージャは、実際に起動するとわかりやすい。

図4 新しくなったパスワードマネージャ

図4のように、パスワードを最後に利用した日付、変更した日付などが表示されるようになった。しばらく使っていないパスワードなどを削除する判断に使えるだろう。検索結果は、図5のように検索結果の件数が表示されるようになった。

図5 検索結果の件数が表示

スクラッチパッドであるが、コード補完機能(図6)とインラインでのドキュメント表示機能が追加された。

図6 コード補完機能

このように、Web開発関連ツールの強化も行われている。さらに、テキストが未選択の状態で、右クリックを行うとコンテキストメニューが表示される。その一部がアイコンとなった(図7)。

図7 一部がアイコン化されたコンテキストメニュー

アイコンとなったのは、戻る、進む、更新、このページをブックマークの4つである。これ以外にも、ルック&フィールで変更になった箇所があった。リリースノートには記述されていないが、簡単に紹介しておこう。変わったのは、接続エラーなどの表示方法である。図8がFirefox 32のエラー表示である。

図8 Firefox 32のエラー表示

比較のために、Firefox 31でのエラー表示を示そう(図9)。

図9 Firefox 31のエラー表示

内容は変わらないが、デザインやマークなどが変更になっている。開発者向け、HTML5関連の新機能は、以下の通りである。

  • drawFocusIfNeededが標準で有効に
  • CSS:position:stickyが標準で利用可能に
  • mix-blend-modeが標準で有効に
  • Vibration APIがW3Cの最新仕様にあわせて更新
  • box-decoration-breakが標準で有効に
  • ECMAScript 6の組み込みメソッドである、Array#copyWithinが実装
  • Array.from()が実装
  • navigator.languages属性とlanguagechangeイベントが実装
  • CSS:-moz-background-inline-policyがbox-decoration-breakに置換
  • 開発ツールのユーザーインターフェイスがHiDPIをサポート
  • 開発ツール:インスペクタのボタンが左上に移動
  • 開発ツール:Web Audioエディタが利用可能に
  • 開発ツール:マークアップビューでは、隠れたノードはそうでないものと異なるスタイルで表示
  • 開発ツール:スクラッチパッドにコード補完機能とインラインでのドキュメント表示機能が追加

Web AudioエディタのViolent Thereminは、マウスポインタの移動によって、音のピッチやボリュームを変化させる(図10)。

図10 Violent Theremin

修正点は、以下の通りである。

  • Mac OS X:ウィンドウがない場合にCmd-Lを押しても新しいウィンドウが開かれない問題の修正
  • MSIE10で必要とされるKB2670838を適用したWindows7、もしくはWindows 8.1で生じていたテキストの描画に関する不具合の修正