「写真甲子園2014」の本戦レポートも本稿が最終回。8月8日の結果発表と表彰式の様子を伝える前に、公開審査会で高く評価された写真を数点紹介したい。

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さて、写真甲子園の本戦では、3日間のファースト、セカンド、ファイナルの各ステージごとに出場各校が8枚組の作品を提出する。その8枚組作品に対して、審査委員が公開審査会で講評するのだが、その中から一枚の写真として絶賛されるものも出てくる。

レポート その2」で触れたように、批判された作品がダメとは限らない。厳しい言葉は期待を込めた愛情の裏返しとも考えられるのだが、ここでは素直に公開審査会で好意的なコメントを得た作品について考えてみたい。(以下、作品写真すべて写真甲子園実行委員会提供)

「写っちゃった決定的瞬間」

大阪府立成城高校の一枚

筆者が取材を開始する前日、8月6日のファースト公開審査会で絶賛されたのが、大阪府立成城高校の「足の裏」だ(※)。米審査委員が「音が聞こえてくるよう」と評したように強烈なインパクトを持つ一枚である。

「これは、"写っちゃった写真"のすごさ」という立木審査委員長のコメントがすべてを物語るが、偶然性もはらんだ決定的瞬間ならではの力強さを感じさせる。

また、「足の裏」への講評ではないが、米審査員の「撮ったときには意識していなかったものが、写っていることがある。そうした意外な発見が後から出てくることがあるのも写真の魅力」というコメントも印象に残った。

※以下、一枚作品のタイトルは関係者で共有されていた「通称」。

「人の表情」と被写体にめぐり合う幸運

愛知県立津島東高校の一枚

愛知県立津島東高校の「ヒサエおばちゃん」もファースト公開審査会での一枚だ。「困ったような、ちょっとうれしいような、16歳、17歳の少女のような初々しさが出た表情がよい」とは立木審査委員長。この作品に限らず、被写体のすばらしい表情を捉えた写真は好評を得たものが多い。

また、「この人たちに出くわした運の良さ」(立木審査委員長)というコメントがあったように、短時間決戦の写真甲子園本戦では、被写体を発見する力、被写体に出会える力も重要だ。さらにそこから表情や情景を捉えるには、「写真が上手く撮れる前に、きちんとコミュニケーションできること」(同)も大事になってくる。

大阪市立工芸高校の一枚

大阪府立成城高校の一枚

埼玉栄高校の一枚

「高校生らしさ」と「チャレンジ」

一方、用意したアイテムを使ったり、自分たち選手の1人を演出して撮影した写真は、よほど完成度が高いか、独創的なものでなければ、厳しいコメントを浴びがちだ。そんな中、北海道江別高校がファイナルで提出した作品は"認められた"感があった。

北海道江別高校の一枚

この一枚は、雨の中、一脚の先にEOS Kiss X7を取り付け、セルフタイマーを使ってストロボ撮影したという。そんなチャレンジに引き付けられるのかもしれない。「女子が前のほうがよかったんじゃんない」という立木審査委員長の意見に筆者も同感だが、セルフィの一種なのに嫌味はなく、ソーシャル時代の今っぽさも感じられた。