2011年7月24日の地上デジタル放送への完全移行から、2014年7月24日でちょうど3年が経過した。3年前には空前ともいえるテレビの買い換え需要が発生。テレビ売り場には多くの来店客が殺到し、2009年度には1,587万台、2010年度は2,571万台、2011年度は1,660万台という出荷台数を記録。年間900万台というテレビの基本需要を大きく上回ったのは記憶に新しい。
しかし、地デジ対応への取り組みは、依然として続いている。業界によっては地デジが持つ課題解決のために新たな取り組みも始まっているところだ。地デジへの完全移行から3年を経過し、地デジを取り巻く環境を改めて追ってみた。
地上デジタル放送は、東日本大震災の影響を受けた岩手、宮城、福島の3県を除く、44都道府県において、2011年7月24日に、地上アナログテレビ放送を終了。岩手、宮城、福島の3県においても、2012年3月31日まで地上アナログテレビ放送を終了し、日本全国で地上デジタル放送へと完全移行した。
地デジ化への取り組みはまだ進行途上?
だが、地デジ化が完全に完了したかというと決してそうとはいえない。3年を経過しても、一部では、まだ地デジ化への取り組みが進んでいる段階にあるのだ。
なかでも、最も大きな動きが2015年3月に訪れることになっている。ケーブルテレビのデジアナ変換サービスが、2015年3月で終了するのだ。
デジアナ変換サービスとは、ケーブルテレビの利用者を対象に地上デジタル放送をアナログ方式に変換し、アナログテレビでも地デジが見られるようにするサービスである。このサービスを利用していると、アナログテレビのままで地デジを視聴するとこか可能になる。
もともと同サービスは、総務省からの要請によって、ケーブルテレビ事業者が開始したもので、地デジ完全移行時の混乱を避けるため、2台目、3台目のテレビの買い換え負担の平準化、アナログテレビの廃棄やリサイクルの平準化を目的に実施した、受け皿的な措置であった。
業界の試算によると、ケーブルテレビの視聴世帯数は現在、国内約5,000万世帯の約半分にあたる約2,500万世帯に達するといわれており、そのうち、デジアナ変換サービスを利用している世帯数は約2割とみられている。つまり約500万世帯が、サービス終了に伴う対策を必要としているわけだ。