"Mantle"のパフォーマンスを確認する - 対応ゲームでどれほどの性能向上がみられるのか?

Star Swarm Stress Test(グラフ1～7)

まずはこちら。実はMantleへの対応作業をしているのはBattlefieldのエンジン開発元であるEA Digital Illusions CE(EA DICE)だけではない。米Oxide GamesはNitrousと呼ばれるStrategy Game向けのゲームエンジンを開発しており、こちらは当初からMantle対応を念頭に置いて開発を行っていた。

実際APU13でも、実フレームレートなどの開示は無かったものの、Mantle対応で動作させるとこのNitrousが極めて快適に動く事が示されていた。そのNitrousを利用したStar Swarm Stress Testというゲームデモというか、ベンチマークテストが既にSteamで無料公開されており、誰でも利用できる(Photo12)。

さて、起動するとこんな画面になる(Photo13とPhoto14)Mantle環境の有無で"Start Mantle"ボタンが有効か無効かが変わる以外は同じである。ということで、早速テスト結果を見てみたい。

テスト条件だがSettings:Extremeを選択、Follow/Attract/RTS/Shmupの4つのシナリオをそれぞれTimed Run(360秒)実施してみた。またPhoto13/14の画面で"Export Frame Data"にチェックを入れると細かなデータが取れるので、これを利用している。

さて、まずグラフ1～3が平均/最大/最小フレームレートである。SHUMPを除くとGTX 770がGTX 780より速いという面白い結果であるが、これは後で。で、Mantle利用時のHD 7970は明らかにDirect3Dの場合より高速で、GTX 770に拮抗するスコアとなっている。

RTSにおける平均フレームレートの高さは圧倒的だし、最大フレームレートも最小フレームレートもなかなかの高さである。唯一RTSだけ妙な事になっているが、これは個別フレームレートで説明したい。

さて、このMantleの特徴は個別のフレームレートを見るとわかりやすい。グラフ4がFollowで、とにかくフレームレートの乱高下が目立つ。実際に走らせると分かりやすいが、Direct3Dを使うとカメラが固定された状態では結構なフレームレートで表示される一方で、カメラをグンと振り回した状態では極端にフレームレートが落ちるのがはっきり分かる。Mantleを使った場合は、確かにピークでのフレームレートはそう高くないが、逆にカメラを振り回してもあまりフレームレートが落ちる印象が無い。

プレイという観点で言えば、どんな動きをしてもフレームレートがそう変わらない分、Mantleを使った方が操作しやすく感じる。これはAttract(グラフ5)やSHUMP(グラフ6)でも同じである。一番極端に分かるのがRTS(グラフ7)で、Direct3Dだとどれものたうってる感じなのが、Mantleでは普通に動くという感じだ。

Mantleの効果は、別の視点からも明確であった。このFollowのシーンの実行に合わせて、OpenHardwareMonitorを使って、GPUの動作周波数とCPU/GPUの負荷をそれぞれロギングしてみた。といってもログを出力する機能が標準ではないので、結果を画面表示してそれをキャプチャして比較してみたい(Photo15～18)。

上段(GeForceが赤、RADEONが緑)はGPUの動作周波数、下段は緑がCPU負荷、青がGPU負荷である。GTX 770(Photo15)とGTX 780(Photo16)はGPUの動作周波数の変動が結構多いし、負荷もピークまで使い切っている事はあまりない。またCPU負荷が最低20%程度でピークは40%を超えている。

HD 7970 D3D(Photo17)ではGPUの動作周波数は100%で固定(これはそもそも変化しない)だが、GPU負荷は結構変動が多く、平均して60%行くかどうかというあたりだ。ところがHD 7970 Mantle(Photo18)ではきれいなほどGPUの負荷が100%に張り付いており、CPU負荷は平均15%程度を維持しているのが分かる。この「GPU負荷が100%に張り付く」ことがMantleの最大の効果であり、HD 7970のパフォーマンスをフルに生かしていると言って良いだろう。