ヤマハは1月29日、ヘッドホン「HPH-M82」の報道関係者向け発表会を東京・銀座のヤマハ銀座スタジオで開催した。

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HPH-M82は同日発表されたヘッドホン。スクエアフォルムのハウジングと、シンプルながらスタイリッシュなデザインで、ファッション性が重視されたモデルとなっている。

楽器を売るためのサブ商材からメイン事業にヘッドホンの位置付けを変更

【上】ヤマハ楽器音響営業本部 音響営業統括部 統括部長の大澤博史氏 【下】ヤマハAV・流通営業本部 本部長の猿谷徹氏

発表会ではまず、楽器音響営業本部 音響営業統括部 統括部長の大澤博史氏が登壇した。「HPH-M82で、これまでヤマハ製品に触れたことのないユーザーにもアクセスできるよう、幅広い訴求を行いたい」と、新製品が同社の戦略上重要な位置付けとなっていることを強調。

続いて登壇したAV・流通営業本部 本部長の猿谷徹氏も、大澤氏の説明の流れを受けて同社のヘッドホン戦略を語った。猿谷氏はまず、「ヤマハではかつて、ヘッドホンはメイン商材である電子ピアノなどの楽器を売るためのサブ商材だった」とコメント。他カテゴリーの製品と絡めて同社のヘッドホン事業の歴史について触れた。あくまで楽器などを売るために脇役に徹してきた事業だったが、スマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーなどの浸透により、ヘッドホン需要が伸長。オーディオ機器メーカーとして軽視できない規模に伸長したヘッドホン市場の動向を踏まえ、「今回、ヘッドホンを重要なビジネスカテゴリの1つにしたいという宣言の場として、発表会を開催するに至った」と、ヘッドホン事業へ注力する姿勢を語った。

競合メーカーがひしめく市場においてどのような普及戦略を採るかについて猿谷氏は、「ヘッドホンといえども、ファッションアイテムとして受け入れられる製品とすることで、ニーズを喚起する」と、音質だけでなくファッション性やデザイン性などの重要性が増していることを強調。「ダンスシーンを取り込むことで、ファッション性の具現化を図りたい」と述べた。

ブランドが乱立する市場で差別化と販路拡大が必要

ヤマハAV・流通営業本部 企画室長の岡田豊氏

3番目に登壇したAV・流通営業本部 企画室長の岡田豊氏は、大澤氏と猿谷氏の戦略説明を受けて、具体的な流通戦略を説明。岡田氏はまず、JEITAの統計データを引き合いに出し、2010年度に781万本、2011年度に737万本、2012年度に743万本と出荷台数が微減するものの、130億円強、約130億円、130億円台後半と売上金額が伸長しているヘッドホン市場の状況を紹介した。

JEITAのデータによると、ステレオヘッドホン、ステレオセット、コンポーネントなどを含めたオーディオ機器市場でもヘッドホンは最大クラスの市場(出荷台数ベース)だという。一方で「市場が大きいがゆえにブランドが乱立していて、差別化をしなければ埋没してしまう」と独自性の必要性を説いた。

金額規模で成長をみせるヘッドホン市場

出荷台数ベースでみると、オーディオ機器の中でもトップクラスの規模

また、差別化だけでなく、流通チャネルの強化も必要だという。同社ではこれまで、ヤマハ直営店や直販サイト、インテリア雑貨店などで製品を流通させてきたが、幅広いユーザーに訴求するためには販路の拡大が必要となる。そこで、ファイナルオーディオデザインの100%子会社として販売活動を行っている株式会社Jを流通パートナーとした。これにより、家電量販店やヘッドホン専門店、Web通販などのチャネルも交えて販売を行っていく。

販路を拡大するため、株式会社Jを販売パートナーとして量販店などでも展開を図る

ダンサーによるパフォーマンスも

本製品はダンスシーンへの訴求が図られるということもあり、発表会ではダンサーによるパフォーマンスも行われた。パフォーマンスを行ったのはニューヨークで"The House Dance Project"の中心メンバーとして活躍した世界的なダンサーであるSHUHO氏、振り付け師のNo.1を決める「Legend Tokyo」で三冠を獲得した二人組ユニットのTHE GALAXXXXY★、ミュージカル「ロミオとジュリエット」「キャバレー」などにも出演経歴のある大貫勇輔氏。3組ともHPH-M82を装着しながら渾身のパフォーマンスをみせた

3組のダンサーによるパフォーマンス

HPH-M82は2月中旬発売で、価格はオープン。推定市場価格は10,000円前後となっている。