ブルーのメタルリング、精緻なインデックス、高度に研磨されたケースエッジ、美しいサファイアガラスといった高級時計の満足感と、安心の電波ソーラー、使いやすいスマートアクセス、表現豊かなマルチミッションドライブといったエレクトロニクスウオッチとしての現実的な利便性を兼ね備えた「OCEANUS Manta」。

そのニューモデル「OCW-S3000」と「OCW-S3001」(通称「ブラックマンタ」)には、外側からは見えない革新的新技術が投入されているという。その秘密を聞き出すべく、取材班は一路、東京都・羽村市のカシオ技術センターへと(青梅線で)向かった。さぁ、今回は久々の技術ウンチク系レポートだ!

OSEANUS Mantaの最新モデル「OCW-S3000」

OSEANUS Mantaの最新モデル「OCW-S3001」(ブラックマンタ)

ソーラーセルに落ちる針の影を克服せよ!

左から、カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部 実装開発室の斉藤雄太氏と細渕博幸氏、カシオ計算機株 時計事業部 モジュール開発部 モジュール企画室の小島直氏

今回、対応してくださったのは、カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部の小島直氏と、同じくモジュール開発部の斉藤雄太氏、細渕博幸氏のお三方。小島氏が新しいMantaのモジュール企画を担当し、その実装部分を斉藤氏と細渕氏が担当したという。

―― OCW-S3000とOCW-S3001のモジュールに実装されたという、新技術についてお伺いしたいのですが。

細渕氏「企業秘密が詰まった部分なので、どこまでお話しできるか分かりませんが(笑)、可能な範囲でお伝えしましょう。新モジュールのポイントは2つあります。1つは電波ソーラーの電源部分であるソーラーセル。もう1つは、駆動をつかさどるモーターです」

今回の話題は、OCW-S3000/S3001のソーラーセル(写真左)とモーター(写真右)がキモ

斉藤氏「では、ソーラーセルに関するところから始めましょう。前提として、OCEANUSの二次電池の充電には、約3ボルトの電圧が必要です。これに対して、1つのソーラーセルで約0.5ボルトの電圧を発生させることができます。ということは、時計全体で5~6個のソーラーセルを直列でつなぐ必要がある、ということになります。従来製品では、扇形にカットしたソーラーセルを放射状に並べていました。ピザやケーキを思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。

ところが、ソーラーセルの発電量にはネックとなる性質がありまして…。実は、各ソーラーセルの発電量は、全体の中でもっとも発電量が小さいソーラーセルと同じになるのです。どういうことかというと、OCEANUSのようなアナログウオッチでは、針の影が落ちる場所のソーラーセルの発電力低下に合わせて、他のソーラーセルの発電量も落ちてしまう、ということです」

充電の回路構造

発電量はどうやって決まる?

従来のアナログ時計のソーラーセル形状