カシオ計算機の耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」で、ひときわ人気の高いのがSKY COCKPIT(スカイコクピット)シリーズだ。その最新モデル「GW-A1100」は、価格が6万円~7万円台と、G-SHOCKとしては高額ながら好調とのこと。

それを裏付けるかのように、本製品のディテールを余すところなく紹介した別記事『写真で見る! - 新開発方位センサーを搭載した最新G-SHOCK SKY COCKPIT「GW-A1100」』にも、多くのアクセスをいただいている。そこで今回は、この話題のプロダクツ誕生にまつわる裏話を、カシオ計算機の企画・開発スタッフに聞いた。

企画・開発スタッフに聞く! - G-SHOCK SKY COCKPIT「GW-A1100」ができるまで(後編)

GW-A1100シリーズ

パイロットがエマージェンシー時にも使える時計

カシオ計算機 時計事業部 商品企画部
斉藤慎司氏

―― GW-A1100の構想は、いつ頃から始まったのでしょうか?

斉藤氏「同じくSKY COCKPITのGW-A1000をリリースする頃には、GW-A1100を考え始めていました。GW-A1000があらかた形になったタイミングで、各方面に見せながら意見を聞いて、その反応をデザインや設計の担当に話して、次の製品にフィードバックしましょう、という話をしたわけです」

―― GW-A1100では、方位計測機能が搭載されましたね。

斉藤氏「新製品の企画には、その時点で最新テクノロジーを投入するとか、人気モデルの後継にしようとか、多くの条件やタイミングによって、常にいろいろな選択肢があります。今回はちょうど、トリプルセンサーVer.3(※1)の研究開発で実現した新しい小型磁気(方位)センサーがあり、これを搭載することは当初から決まっていました」

※1 トリプルセンサーVer.3
従来比95%の小型化と90%の省電力化を実現した磁気センサーと、より高精度化された気圧センサー、そして処理能力を向上させたカシオのセンサーICを組み合わせた、カシオの最新キーデバイス

―― 方位、気圧/高度、温度とある中で、なぜ方位計測機能を選んだのですか?

斉藤氏「私たちは、普段からG-SHOCKに関してさまざまな職業の方々が、どういったシーンで使うかをインタビューしています。そんな中で、そのタフさから、G-SHOCKはサバイバル的な用途で使われるケースが増えていることが分かりました。

じゃあ、それをパイロットという職業に当てはめたらどうだろう、と考えたんです。非常時、どこに不時着するかわからない。そんなとき、エマージェンシー的な機能として方位計測機能が必要なんじゃないかと。パイロットウオッチであるSKY COCKPITシリーズにおいて、もっともふさわしい機能が方位計測であると判断したんです。

もちろん、ほかにもさまざまな条件があります。温度計測機能はすでにGW-A1000に付いていますし、気圧計測は用途的にしっくり来なかった。これは、PRO TREKのように山登りで使う時計ではありませんから」

カシオ計算機 時計事業部
モジュール開発部 牛山和人氏

牛山氏「トリプルセンサーVer.3の技術によって、方位を計測するための磁気センサーが約95%も小型化し、消費電力が1/10になりました。これがGW-A1100にタイミングよく間に合ったのも、ひとつのポイントです。

GW-A1100の基板は、GW-A1000の基板と基本的には同じものです。モーターの配列やギアの配列も同じで、センサーデバイスを搭載するスペースがほとんどありません。そこに搭載できるセンサーは、現実として新型磁気センサーしかなかったんですね。

しかし、斉藤が申し上げたように、方位計測機能はSKY COCKPITの用途として理にかなっています。これら多くの条件から、GW-A1100は『パイロットがエマージェンシー時にも使える時計』というコンセプトがまとまりました」

GW-A1100-1A3JF
(ブラック×グリーン)

GW-A1100-1AJF
(ブラック×レッド)

GW-A1100FC-1AJF
(ブラック×ブルー)

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